およそ8年ぶりに新型となった日産『エルグランド』は、『ムラーノ』ベースのFFプラットフォーム&低床パッケージを採用。ビレット風グリル配する顔つきは先代以上の迫力だ。しかーし、全体的にはずいぶんスマートに、上品になった印象も受ける。
運転席に乗り込めば何とステップはホンダ『エリシオン』より低く、乗降は先代と比べると夢のように快適だ(後席も)。インパネは『フーガ』のようでもあり、ドラポジは極めてサルーンっぽく、まるで高級サルーンに乗ってるみたい。
シートは全席ともに硬めのしっかりした掛け心地。スライドドアだった2列目席の窓もついに昇降するようになった。3列目席はシート格納方法をクラス唯一のワンタッチ前倒し式に変更。アレンジ性、斜め後方視界確保の点でも大きく進化してるではないか。
最上級グレードとなる「350ハイウェイスター・プレミアム」のプロトタイプに乗ると、まずは先代とは一線を画す低めの視界、低重心感覚が新鮮だ。ムラーノ譲りの3.5リットルV6+6速CVTによる力強く滑らかなパワーフィールには今さら驚かないけど、軽くしかし適度な手応えが出たパワステの操舵フィール、高級サルーン並みの静粛性、そしてしっとりしなやかなになった上質感ある乗り心地に感心しきり。
活発に走っても姿勢変化最小限で安定感抜群。後席の乗員も無闇に揺すられない。8年待っただけのことはある走りの進化に納得だ。考え方によっては、先代オーナーにとって一番嬉しいのは、同乗者がクルマ酔いしにくくなったことかも……。先代って乗り心地フワフワして、山道じゃは酔いやすかったですから。
そんな新型エルグランドの登場は、このクラスのトヨタ『アルファード/ヴェルファイア』一人勝ち状態に終止符を打つことを意味する。ちなみに、量販グレードとなる2.5リットル直4モデルも用意されています。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
青山尚暉|モータージャーナリスト/日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
東京都出身。自動車専門誌編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌、一般誌、ウェブサイトなどに寄稿。試乗記、購入ガイドなどの執筆のほか、コンパニオンアニマルとしての愛犬と楽しむ快適自動車生活を各方面で提言中。