ナンバープレート自動認識で通行料徴収へ…イタリア道路会社

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アウトスラーデ社の「テレパス」用ゲート
アウトスラーデ社の「テレパス」用ゲート 全 4 枚 拡大写真

イタリアの道路会社・アナス社は、自動ナンバー読み取りによる通行料金徴収システム「フリーフロー」の導入計画を進行している。

現在イタリアの自動車専用道路は数々の道路会社によって運営・管理されているが、アナス社はアウトストラーデ社と並ぶ2大道路会社のひとつ。いずれも旧公団系である。

アナス社は1946年に主に国道を管轄する道路公団としてイタリア政府によって設立されたが、2002年に株式会社化された。

もともと有料の高速道路網を公団から引き継いだアウトストラーデ社と違い、無料区間を多く引き継いでしまったアナス社にとっては、有料区間の拡充は悲願だった。

そこでアナス社は、現在無料の自動車道や環状道路のうち約1300kmを、2012年から有料化する計画を、政府に働きかけながら進めてきた。今回の新徴収システム導入計画は、それに合わせたものだ。

「フリースロー」は、インターチェンジに設置したカメラで通行する車両のナンバープレートを読み取り、ユーザーが通行した区間を1台ごとに記録。後日ユーザーの銀行口座から料金を引き落とす仕組みである。

日本において道路監視や公安目的で導入されている「Tシステム」「Nシステム」の、料金収受用と考えることができる。

料金所が不要になると同時に、インターチェンジでの渋滞も防げるメリットがある。
 
ユーザーも、ETCのように特別な車載器を車両に設置する必要がない。

今月アナスは、現在も同社の経営を管轄しているイタリア政府を通じ、フリーフローのシステム納入企業を選定する入札実施を官報で告示した。
 
発注価格は、約1億5000万ユーロ(約171億円)台になるとみられている。

フリーフローを実際に導入する場合、有料区間の開始・終了をどのようにドライバーに知らせるか、引落口座が未登録のドライバーや、イタリア国内に引き落とし口座を持たない外国人ドライバーにはどう対応するのか、従来の収受員ゲートをどの程度併設するかなど、現段階では落札業者が決定しないと見えてこない場合が多い。

また、もし導入されても、運用当初はさまざまな混乱が予想される。
 
しかし、イタリア版ETC「テレパス」は、21年前の1989年に導入され、欧州各国における同様のシステムの先駆けとなった。
 
このように料金収受にかけては気合が入るイタリアの道路網だけに、意外にこのフリーフロー・システムでも、世界に先鞭をつけることになるかもしれない。

《大矢アキオ Akio Lorenzo OYA》

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