フーガHV が見せた「技術の日産」の意地

エコカー ハイブリッド
フーガHV
フーガHV 全 6 枚 拡大写真

●リチウムイオン電池の特性を生かした制御

さて、このフーガ・ハイブリッド、まず注目すべきはモーターの制御である。アイドリングストップからモーターだけで発進し、EV走行しながらエンジンを始動させる時にガクガクと衝撃が伝わるようでは、高級車が台無しというものだ。いかに通常のガソリンモデルから乗り換えても違和感なく滑らかで力強い加速ができるかは、重要な要素だろう。

エンジンとモーターの駆動力を断続するクラッチは見る限りMTと同じ乾式単板のようで、伝達効率は高そうだが、微妙な制御を行なうには不向きの構造だ。それでもいきなりドンッと断続を行なうことはないが、貴重な駆動力を熱損失でロスしてしまうトルクコンバーターを使うことなく滑らかな走りを実現するためには、モーターの出力をキメ細かく、かつ素早く制御することが最善という判断なのである。

それはインバーターによって素早く電圧をコントロールすることによって実現していると言う。その高速で幅広い制御ぶりは、1秒間に4回最大出力と最小出力を繰り返している、と聞けば想像できるだろうか。これは大きな電力の出し入れに強い、リチウムイオン電池ならではの特性を活かしたセッティングとも言えそうだ。

エンジンの方も始動をスムーズにするためのデコンプ(圧縮工程の時に排気バルブを開く機構)を搭載するなど、ハイブリッドシステム用に仕様変更が行なわれている。さらに燃費向上のために吸気バルブの遅閉じを行なう、いわゆるアトキンソンサイクルを採用していると言う。エンジンの性能曲線を見ても、4000rpmまでは発生トルクを抑えた省燃費指向で、不足分はモーターが補うことで3.7リットルエンジンと同等の動力性能を確保した。

これらの結果導き出された10・15モードで19km/リットルという燃費は、高級車のハイブリッドでは群を抜いているものだから、後発と言えど胸を張っていい内容だろう。

  1. «
  2. 1
  3. 2
  4. 3
  5. 続きを読む

《高根英幸》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 2.5Lエンジンを搭載する『インプレッサ』登場、米2026年モデルに「RS」
  2. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
  3. 新型アウディ『Q3』のインテリアを公開、「コラム式シフト」と新デジタルコックピットが目玉に
  4. シボレー『コルベット』がニュルブルクリンクで「米国メーカー最速ラップ」樹立
  5. 21車種・64万台超、トヨタ自動車の大規模リコールに注目集まる…7月掲載のリコール記事ランキング
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
  3. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  4. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  5. 湘南から走り出した車、フェアレディZやエルグランド…日産車体が量産終了へ
ランキングをもっと見る