気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2011年1月13日付
●官房長官 枝野氏で調整、首相あす内閣改造(読売・1面)
●大学生の採用3年生の12月から、2カ月遅く経団連決定(読売・1面)
●ニュースがわからん! 自動車業界の「OEM」って何?(朝日・2面)
●フィアット・クライスラー連合、アジア市場で提携模索、マルキオンネCEOに聞く(朝日・12面)
●追跡:EV情報漏えい疑惑ルノーが告訴へ、「経済戦争」仏に衝撃、中国批判強めるメディア(毎日・2面)
●レクサス新HV、ブランド最安(毎日・8面)
●「勇気ある経営大賞」募集、東商(産経・10面)
●荒川区に1000枚限定あら坊ナンバー誕生(産経・19面)
●池上彰さん「取材・執筆に専念」(産経・22面)
●北米自動車ショー、再建の柱好対照(東京・7面)
●イギリス発:気を吐く零細自動車、心つかむ改造、修理(東京・7面)
●資生堂社長51歳末川氏(東京・7面)
●環境車向け、トヨタ次世代電池量産、今秋にも普及にらみ安く、パナソニックや日立も(日経・1面)
●社説:クルマ技術の防衛を真剣に考えよう(日経・2面)
●NHK会長、内部昇格強まる、経営委15日協議、永井・今井氏軸に(日経・3面)
●吉利・鴻海・UMC電気自動車タッグ、中台連合で共同開発、3年内メド商品化(日経・7面)
●評伝:日本石油元社長・建内保興氏が死去、民間の独自性こだわる(日経・10面)
●ブリヂストン自転車幼児席、リコール後も重軽傷9件(日経・38面)
ひとくちコメント
「好事魔多し」とはよく言ったものである。中国市場では昨年、新車販売台数が日本車として初めて100万台を超え、株価も850円台の高値水準を維持するなど絶好調の日産自動車だが、筆頭株主のフランスの自動車大手、ルノーでの電気自動車(EV)の技術情報漏えいをめぐるニュースが目白押し。
12日夕刊に続いて、きょうも産経が共同配信で「ルノー刑事告訴表明」などと報じているほか、毎日は「『経済戦争』仏に衝撃」とのタイトルで真相究明の追跡レポートを2面で大きく掲載。さらに、1面のコラム「余録」でも話題にして、「狙われたEV技術の中核は日産が手がけてきたものだけに日本人も無関係ではいられらい」と指摘している。
日経は「社説」のテーマに取り上げて「せっかく開発した技術が提携先企業を通じて簡単に流れ出てしまったのでは、日本の国益を損なう」としながら「企業は提携関係が複雑化している現状をにらみ、社内の管理体制をもう一度見直すときだ。海外企業にまねされないよう、電池など中核技術は中の仕組みをわからなくする『ブラックボックス化』の工夫も大切だ。気がつけば技術が海外に流れていたということがないよう、官民が脇を固める必要がある」と警鐘を鳴らす。
日経の論調はお説ごもっとも。但し、「気がつけば技術が海外に流れていたということがないよう」というのは表向きの見方で、図面こそ流出していないものの、日本の有能な技術者が韓国や中国メーカーに大量スカウトされる例は後を絶たない。
日本の某大手自動車メーカーの研究所内では、北米などで人気の韓国車の新型を分解したところ、「ウチで開発中の新技術が満載されていた」というウソのようなホントの話を聞いたことがあった。技術者を厚遇する程度の問題もあるが、国益を守るには、コストカットばかりを優先するのではなく、貴重な頭脳を流出させない対応策も大切である。