トヨタ自動車のグローバル戦略の要となるコンパクトモデル、新型『ヴィッツ』。搭載する新技術のなかでも注目度が高いのは、非ハイブリッドで10・15モード燃費26.5km/リットルをマークするアイドリングストップ車「1.3F“SMART STOP”パッケージ」だろう。
東京都心の皇居周りを走行してみた結果、スマートストップパッケージ車の燃費は、排気量のより小さな「1.0F」の18.9km/リットルをしのぐ、20.2km/リットルの好スコアをマークした。同じエンジンを搭載するアイドリングストップ未装着車「1.3U」の17.1km/リットルと比べると18%ものアドバンテージだ。
スマートストップパッケージ車のオンボードコンピュータには、燃費や平均車速などのほか、累積アイドリングストップ時間が表示されるようになっている。平均20km/hというスピードで30分弱を走り終えた時点で、アイドリングストップの時間は何と7分38秒と表示されていた。試乗時はそこまで激しい混雑には感じられなかったが、それでも走行時間の4分の1は停まっている計算になるのだ。市街地走行が主体のユーザーにとっては、アイドリング時の燃料消費をまるごとカットできることによる恩恵は大きそうだ。
ちなみに、新型ヴィッツ発表会当日(2010年12月22日)にショートコースを試乗した際には、ブレーキの踏力変化へのレスポンスが過敏に感じられたが、この日は気になるほど過敏ではなかった。トヨタのエンジニアは「ショートコースだとブレーキを踏む力の変化の影響だけでなく、油圧が不足しがちだったからではないか」と見解を述べていた。
ブレーキをある程度踏み込むとエンジンがかかることに変わりはないが、新型ヴィッツはDレンジからPレンジにシフトレバーを動かしてもアイドリングストップは解除されないように設計されている。モデル個有の操作に慣れてくれば、それも気にならなくなるものと思われる。