特筆すべきはシャシー性能の高さである。(そういう場面が多いか多くないかは別にして)コンパクトSUVのなかで、最も気持ちのいいハンドリングカーだ。自然な早さと深さでロールし、コーナーを抜ける姿勢がたまらなく気持ちいい。
結局のところ、日本の市場では“要らない”性能も、30km/hで走る街を5分で抜ければそこは90km/hや110km/hで走っていいアップダウンのあるカントリーロード、という風に、街区と郊外のメリハリがある欧州では最低限望まれるパフォーマンスということだろう。
だから、逆に、オートマチックのフィーリングはイマイチ。ヨーロッパでは依然、“要らない”性能なのだ。ただし、力のある5気筒エンジンとの相性は良かった。
派生モデルがこれだけ気持ちよく走るのだから、ベースとなったフォーカスにも日本で乗ってみたい気もするが…。マーケットの支持は厳しいか。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
西川淳|自動車ライター/編集者
産業から経済、歴史、文化、工学まで俯瞰して自動車を眺めることを理想とする。高額車、スポーツカー、輸入車、クラシックカーといった趣味の領域が得意。中古車事情にも通じる。永遠のスーパーカー少年。自動車における趣味と実用の建設的な分離と両立が最近のテーマ。精密機械工学部出身。