日産自動車が昨年12月にリリースした量産型EV『リーフ』。その市販モデルのマスメディア向け試乗会が横浜の同社グローバル本社で行われた。市販モデルはプロトタイプに比べ、さらに熟成が図られたという。三浦半島界隈を中心に100km弱を走り、仕上がりぶりをチェックしてみた。
リーフのパワートレインは最高出力80kW(109馬力)、最大トルク28Nm(28.6kgm)。出力はせいぜいガソリンエンジンの1.5リッタークラス程度の数字にすぎないが、最大トルクはおおむね3リッタークラスに相当する。実際のドライブでも、低速域での加速感は大排気量セダンと同等に思われた。
高速域での加速力もエンジン車と比べてそう見劣りするわけではない。横浜横須賀道路でいろいろなパターンの加速を試してみたが、時速60~80km近辺の加速は一般的なファミリーセダンより優れているように感じられた。
一方、アクセルペダルを踏んだ時のトルクの立ち上がりをはじめとするパワーコントロールのセッティングは、一般ユーザーがエンジン車感覚でドライブしていても違和感がないよう、マイルドに仕立てられていた。たとえば低速からアクセルを一気に踏み込んでも、トルクが瞬時にドンと出るのではなく、二次曲線的にふわりと加速するのだ。
日産のエンジニアは「EVに乗ったことのないお客様が、ごく普通の感覚で運転できるような味付けを目指した」と、その意図について語る。同じ量産EVながら、ダイレクト感、爽快感を前面に押し出したスポーティなセッティングがなされていた三菱自動車の『i-MiEV』と好対照と言えよう。
市街地走行と高速走行をあわせた電力消費率のスコアは1kWhあたり6.4kmだった。試乗日がちょうど春の日和で、電力を食うヒーターを使う必要がなかったということもあるが、省エネルギー走法をほとんど行わず、加減速もそれなりに試しながら走ったわりには良好な数値だったと言える。ちなみにバッテリー満充電ぶんの24kWhを使った場合の航続距離は153km、JC08モードでの航続距離200kmというカタログスペックに対する達成率は76%と、こちらも悪くない数字である。