【スズキ MRワゴン 試乗】人とクルマのインターフェイスを実現…千葉匠

試乗記 国産車
MRワゴン
MRワゴン 全 12 枚 拡大写真

Aピラーが切り立っており、かつ根元はかなり前進している。運転席から見る前方視界は、景色を四角い額縁で切り取ったような感覚だ。ふと左横に視線を向ければ、横長いフロントドア・ウインドウ越しに景色がサーッと流れて行く。

運転席にいる自分と外界との関係が、新型『MRワゴン』は今までのクルマとちょっと違う。そんな印象を抱いてからあらためてエクステリアを見ると、「あぁ、早めに筆を置いたんだね」。

デザイン業界的な言い回しで申し訳ないが、人がモノに感情移入するには、この「早めに筆を置く」のが実は大事。開発の最後までネチネチやると、カタチは洗練されるが、作り手の思いが見る人に伝わらなくなる。

新型MRワゴンの場合、例えばAピラーの下端はフロントフェンダーにつながります、上端はウインドシールドに沿って回り込みます、という意図が明らか。Aピラー上端の丸みがルーフサイドを貫くテーマを見せるために、あえてCピラー上端とルーフサイドを区切るラインを残してもいる。エクステリアデザインにおける「人とクルマのインターフェイス」がそこにあるのだ。

そう気付いて再び運転席に戻れば、このクルマの最大の売りであるタッチパネルオーディオが、より意義深く思えてくる。操作感はiPod/iPhone風で、この種のインターフェイスが今後クルマでも増えていくだろう。でも、どんなクルマにもこれが似合うわけじゃない。

エクステリアデザインで、あるいは室内から見る景色で、どれだけ「人とクルマのインターフェイス」を実現できているか? 新型MRワゴンにはそれがあり、その延長上にタッチパネルオーディオがあるということを忘れてはいけないと思う。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★★

千葉匠|デザインジャーナリスト/AJAJ理事
デザインの視点でクルマを斬るジャーナリスト。1954年生まれ。千葉大学工業意匠学科卒業。商用車のデザイナー、カーデザイン専門誌の編集次長を経て88年末よりフリー。「千葉匠」はペンネームで、本名は有元正存(ありもと・まさつぐ)。日本自動車ジャーナリスト協会=AJAJ会員。日本ファッション協会主催のオートカラーアウォードでは11年前から審査委員長を務めている。

《千葉匠》

千葉匠

千葉匠|デザインジャーナリスト デザインの視点でクルマを斬るジャーナリスト。1954年生まれ。千葉大学工業意匠学科卒業。商用車のデザイナー、カーデザイン専門誌の編集次長を経て88年末よりフリー。「千葉匠」はペンネームで、本名は有元正存(ありもと・まさつぐ)。日本自動車ジャーナリスト協会=AJAJ会員。日本ファッション協会主催のオートカラーアウォードでは11年前から審査委員長を務めている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 日産『マイクラ』新型、“SUV風デザイン”の小型EVになって登場
  2. トヨタ『RAV4』新型を世界初公開、3つのスタイルで進化 日本発売は2025年度中
  3. アルピーヌ『A390』発表直前プレビュー! マカンよりかなり小さいボディから600馬力!?
  4. 【スズキ ハスラー タフワイルド 新型試乗】“クラシック・ミニ”の面持ちを思い出す…島崎七生人
  5. 「スーパーカー史上最も美しい…」デ・トマソの新型『P72』登場に国内外SNSではため息
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 【学生向け】人とくるまのテクノロジー展 2025 学生向けブース訪問ツアーを開催…トヨタ、ホンダ、矢崎総業、マーレのブースを訪問
  2. BYDが「軽EV」の日本導入を正式発表、2026年後半に
  3. 地域再エネ活用の収益を還元、ホンダ N-VAN e:を茨城県神栖市へ無償提供
  4. シェフラーがヴィテスコ合併後初の出展、ポートフォリオ拡大と顧客対応力をアピール…人とくるまのテクノロジー展2025
  5. トヨタ「GRファクトリー」の意味…モータースポーツのクルマづくりを生産現場で実現【池田直渡の着眼大局】
ランキングをもっと見る