気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2011年5月12日付
●東電の破綻回避、原発賠償、国、完了まで支援(読売・1面)
●トヨタ震災影響1100億円、増収増益は確保、12年予想公表見送り、3月期決算(読売・2面)
●3月期決算、日立、震災影響1300億円、工場停止、売上高押し下げ(読売・9面)
●石油化学6社大幅増収、自動車向け素材が好調(読売・9面)
●パイオニアが7期ぶり黒字(読売・9面)
●トヨタ、国内生産縮小検討、TPP先送り・円高懸念(朝日・7面)
●中嶋兄弟、鈴鹿対決、自動車フォーミュラ・ニッポン14日開幕(朝日・24面)
●ルネサス、10月正常化、マイコン他工場で生産代替(毎日・8面)
●首位トヨタ3位転落も、部品・電力不足世界販売に打撃(産経・3面)
●電機大手6社決算、震災リスク業績に影、4社が予想見送り(産経・11面)
●トヨタ来月生産7割に回復へ、3月期決算、営業利益3,2倍(東京・7面)
●木金休み、土日操業、夏の節電対策で自動車業界合意(東京・7面)
●電気自動車、VW、中国・第一汽車と合弁(日経・7面)
●いすゞ、独VWとの提携交渉、秋までに合意、社長が方針(日経・11面)
●いすゞ、経常益8倍、前期、日野自は黒字転換、トラック販売好調(日経・13面)
ひとくちコメント
トヨタ自動車の決算発表で、豊田章男社長が「トヨタは日本で生まれ育てられたグローバル企業。この産業基盤、雇用基盤をどう維持していけるかを考え、日本でのものづくりにこだわりたい」と、国内生産への“思い”を力説した。
一方で、同席の経理担当の小澤哲副社長は「1ドル=80円の円高水準の中では、収益を預かるCFOとしては限界を感じている。いつまで日本でのものづくりにこだわるのか、社内の関係部署、社長に対してその旨の進言をせざるをえない」と切り返す。
そのやり取りは、“不協和音”というよりも、むしろ“掛け合い漫才”のようにも見受けられたが、「理想」と「現実」の違いを改めて感じさせられた。
きょうの各紙にも「トヨタ、国内生産縮小検討」(朝日)、「下請け企業危機に直面、製造業の空洞化懸念」(毎日)などと、トヨタ内部での“見解の相違”について取り上げている。「経営基盤は着実に強化されている」と豊田社長は強調するが、東日本大震災の影響による損失が1100億円に対し、為替差損は2900億円にも上っている。
ただ、豊田社長も「現在の為替水準では、私の思いだけではやっていけない」としながら、「世界の強豪と戦える環境が整備されるよう、切に願っている」と、政府に対し配慮を求めていた。
震災直後から「ACジャパン」のCMに「思いは見えないけれど、思いやりは見える」という詩が流れているが、豊田社長の“思い”を首脳陣や社員たちがどこまで思いやれるのかどうかも注目したい。