カロッツェリア「サイバーナビ」の2011年モデルから新たに備わった「ARスカウターモード」だが、前走車との車間距離を計測するため、このモードを使わない状態でもシステム自体はバックグラウンドで動き続けている。
実写映像を用いたナビゲートに注目が集まりがちだが、「実はカメラを用いた前走車検知の方が本来やりたかったことなのです」と、サイバーナビを担当したパオニア・カー市販事業部マルチメディア事業企画部の枝久保隆之氏は語る。
スカウターモードには前走車を検出して車間距離を表示する「ターゲットスコープ」という機能がある。現在の走行距離から「適切な車間距離」を割り出し、それを画面に表示するものだ。
「実は適切な車間距離を維持して走行することで“渋滞を減らせる”という研究があります。今回のサイバーナビではこれを運転者に徹底してもらうことで、交通の流れ自体を良くしようと狙っているのです」と枝久保さんはいう。
高速道路では「速度70km/hで車間が40mより短くなると渋滞が発生しやすくなる」とされており、画面に車間距離を表示することで「渋滞を抑制したり、吸収できる距離」の保持を目指す。また、一般道においては「運転しやすいといわれる2秒の車間時間」を保持することを目指している。
サイバーナビではスマートループや渋滞予測を他社に先駆けて採用。従来モデルでは「すでに発生している渋滞を回避すること」に主眼を置いていた。2011モデルではそこから一歩踏み込んで「渋滞を起こさせない、渋滞を減らす」という工夫を取り入れた。車間距離の保持については、渋滞についての研究を行っている東京大学の西成活裕教授からアドバイスを受けているという。
「適切な車間距離を保持してもらうことで渋滞の抑制につながりますが、それが運転者にとって押し付けがましいものでは逆効果になるので、楽しみながら車間の保持を続けてもらうようにスカウターモードという名称も付けています」と枝久保さん。
「スカウター」というと、某少年マンガに出てくる「相手の戦闘力を表示する装置」を連想させる。サイバーナビのスカウターは前走車の戦闘力を測ってくれるわけではないが、ターゲットをロックオンしたときのマークであるとか、効果音はどことなくマンガチックだ。