【メルセデスベンツ Cクラス 試乗】従来車のオーナーが悔しがる…松下宏

試乗記 輸入車
C200ブルーエフィシエンシー・アバンギャルド・AMGスポーツパッケージ
C200ブルーエフィシエンシー・アバンギャルド・AMGスポーツパッケージ 全 12 枚 拡大写真

現行『Cクラス』は2007年6月にアジりティ(敏捷性)などを特徴としてデビューし、その後改良やバリエーションを追加を重ねてきた。2011年5月には大幅なマイナーチェンジを実施し、2000個所に及ぶ改良を施したとのことで、“メルセデス・ベンツ史上、最高傑作のC”を標榜している。

CをモチーフにしたLEDヘッドライトの採用などで外観のイメージを変更した上で、インテリアはインパネ形状まで変更した。これはマイナーチェンジでは滅多にやらないことだ。

搭載エンジンは環境対応エンジンのブルーエフィシェンシーを中心にしたバリエーションに変更し、「7Gトロニック」の電子制御ATに改良を加え、各種装備を充実化しているから、フルモデルチェンジに近い大幅な改良である。

特に良くなった印象が強いのがインテリア回りの改良だ。インパネの形状を変更してナビゲーションをビルトインしたほか、ソフトパッドやステアリングにナッパレザーを採用してことなどによって、内装の質感が格段に向上した。

というか、これまでのCクラスの内装があまりにもプラスチック感が丸出して古くさい印象だったのが、大きく変わった。カーナビの操作性も大幅に向上するなど、仕様の中身も改善されていて、従来のCクラスに乗っているオーナーが悔しく感じるくらいに大幅な改良がなされた。

「C200」系と「C250」はいずれも直列4気筒1.8リットルの直噴ターボエンジンを搭載する。同じエンジンに異なるチューニングを施すことで、C200とC250にしているわけ。このあたりは選び方が微妙になる印象だ。

試乗車はセダンのC200ブルエフィシェンシーアバンギャルドとステーションワゴンのC250ブルエフィシェンシーアバンギャルドの2機種。C200用のエンジンは、決してスポーティではないが、これで十分という感じの動力性能を持つ。

C250より低い回転数で最大トルクを発生するので、低速域からの加速も滑らかだ。改良された7Gトロニックは相変わらず何速で走っているのか分からないくらいに滑らかな変速を示す。

ただ、試乗車はAMGスポーツパッケージ付きで18インチタイヤを履いていた。この仕様だとさすがに乗り心地が硬めの印象があった。

C250は動力性能に余裕があり、Cクラスのボディを軽快に走らせる。標準仕様は17インチタイヤで、乗り心地の面ではこちらが優れていた。どちらのタイヤにも共通するのがコーナーなどでの確実な接地感。メルセデス・ベンツならではの操縦安定性の基本となるのがこの感覚だ。

走りを楽しみたいならC250だが、C200系とC250では装備の違いもあって70万円以上の価格差がある。現実的な選択肢はC200系だろう。

ベースグレードのC200ブルーエフィシェンシーライトは399万円という戦略的な価格が設定されている。装備はやや貧弱だが、必要な装備は抑えてあるのでこれも選択肢のひとつにできるグレードだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「ベントレー史上最大のデザイン革命」初のコンセプトEVは、全長5m超えの3名乗りクーペ
  2. もしも「タイプ992」が初代911をオマージュした世界線だったら…? ウクライナのデザイナーが再解釈
  3. まさに水上のスポーツカー!ブラバスの「電動ジェットボード」登場、世界77台限定で340万円
  4. 「鈴鹿8耐」最注目のヤマハ車は完全新作の『YZF-R9』! 150万円を切るなら「ブレイクの予感」しかない
  5. レクサス『LBX MORIZO RR』、イエロー映える限定車「Original Edition」価格は730万円
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  5. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
ランキングをもっと見る