【トヨタ ヴィッツ 試乗】自動車好きを唸らせるのはもう無理?…河村康彦

試乗記 国産車
トヨタ ヴィッツ
トヨタ ヴィッツ 全 5 枚 拡大写真

初代モデルの誕生以降、2度のフルチェンジを経験して昨年末に3代目となった『ヴィッツ』。しかし、そんな世代交代ごとに個性を失い続け、今や「特に乗ってみたいとも思わないモデルになってしまった…」と表現したら言い過ぎか?

けれども、少なくともそれが自身の率直な印象。もはや“トヨタ・マーク”が付かなければどこの国の何というモデルかも判別が付き辛いというのが、今のヴィッツというクルマ。インテリアの印象も同様で、ダッシュボードを非対称ルックにしたりはしているものの、そこには「ちょっと新奇性を演じてみたかった」という雰囲気が漂うのみ。初代モデルが“センターメーター”の採用で見せた機能性向上に対する取り組みの姿勢などは認められないし、各部の質感もむしろ従来型よりも落ちて感じられるほど。
 
装備的にも、リアワイパーには必須の間欠モードがなく、フロント・シートベルトも高さ調整機構はナシといった侘しい状況。開発者に問えば「そんな装備は、付けても評価されないので省きました」と答えが返って来るけれど、リアの間欠モードは欧州向けには“全車標準”だったりするのだから、ナメられているというか、「後ろの出来事なんか知ったこっちゃない」(?)というユーザーの方にも問題がアリというか…。
 
乗れば乗ったでツッパリ気味できれいにストロークしないサスペンションのお陰で、これもまた終始安っぽい乗り味。それでも、首都高に上がった途端にフラフラして不安感いっぱいだった『パッソ』に比べれば、「恐くはないだけまだマシ」という事か。
 
そんなこんなで、「もうコスト低減以外には興味はアリマセン」という無言のメッセージが聞こえて来るかのような今度のヴィッツや、やはり同様の日産『マーチ』のようなモデルを目にすると、もはやそれに愛着を抱くどころか、“単なる移動の道具”としてしか見て貰えなくなるのもさもありなん。VW『ポロ』のような「自動車好きをも唸らせるベーシック・モデル」の登場を日本メーカーに期待するのは、もう無理なのか!?

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★
オススメ度:★

河村康彦|モータージャーナリスト
1985年よりフリーランス活動を開始。自動車専門誌を中心に健筆を振るっているモータージャーナリスト。ワールド・カーオブザイヤー選考委員、インターナショナル・エンジンオブザイヤー選考委員。

《河村康彦》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 車内が即ネット空間に! 新型USB型Wi-Fiルーターがドライブを変える[特選カーアクセサリー名鑑]
  2. 「発売はいつ?」ヤマハの新型スーパースポーツ『YZF-R9』、国内導入を待ち望む声続々
  3. 【スズキ ジクサー250 試乗】250ccでダントツにリーズナブル! この手軽さと奥深さはスズキ随一の仕上がりだ…伊丹孝裕
  4. 狭い道! 制限1.9mだが何かがおかしい…東京都小金井市
  5. 「最初からこれが欲しかった」レクサスの特別な『LBX MORIZO RR』限定発売に、SNSで反響
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る