大矢アキオの『ヴェローチェ!』…ビーチでランチアがショーファーサービス

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伊リッチョーネ市街で展開されている無料タクシーサービス『Ryccione』
伊リッチョーネ市街で展開されている無料タクシーサービス『Ryccione』 全 9 枚 拡大写真
 夏のリゾートで新型車のプロモーション

ランチアはイタリア東海岸のリッチョーネで2011年8月末まで『Ryccione』と題した観光客輸送サービスを行なっている。これは、今夏発売された新型ランチア『イプシロン』のプロモーションである。

市内の主要箇所に合計80台の新型イプシロンとショーファー(専属ドライバー)を投入、観光客の求めに応じて無料でホテルや海岸、娯楽施設などへの輸送を行なっている。

リッチョーネは夏の間、内外の人々で賑わうビーチリゾート。近年は近隣のリミニ空港に直行便が発着することから、ロシア人観光客も増加している。

イベントのタイトル「Ryccione」は、都市名Riccioneに車名の「Y」(イプシロン)をかけたものである。先日筆者が実際にリッチョーネを訪れると、高速道路のインター入口から街に向かう街路から早くも「Ryccione」の横断幕がいくつも掲げられていた。

ランチアにとっては、高級ブティックが立ち並ぶイタリア屈指のビーチで、新型イプシロンのプロモーションをする意義は大きい。

街は従来からのイプシロンのメインターゲットである若い女性客が多いうえ、家族連れ客には5ドアになった新型の乗降性を実際に体験してもらえるからだ。加えて、リゾート地でツインエア・エンジンやスタート&ストップ機構などを走らせることにより、環境に優しいイメージを演出できる。

リッチョーネ市にとっても、点在する海岸やナイトスポットに観光客がアクセスできる輸送手段を提供してもらうことで、飲酒運転による事故を防げる、という一挙両得だ。

サービスがもっとも好評なのは夜である。夏の間リッチョーネは、飲食施設はもとより、ブティックなども深夜0時前後まで軒並み営業し、まさに不夜城だからである。長期滞在客が多いことから新型イプシロンのショーファー・サービスはすでに充分知れ渡っており、フル乗車状態の車が多い。市当局のバックアップのもと、サービスに供された新型イプシロンは、市中心部の一般車進入禁止区域も通過できるのも好評の理由である。

あるドライバーの若者に聞けば、ほとんどが地元採用の季節アルバイトという。雇用の創出にも繋がっているわけだ。やがて筆者と彼の会話を遮るように人が近づいてきたので新たなお客かと思ったら、若者の家族と親戚だった。どうやら夜の散歩がてら、陣中見舞いに来たらしい。イタリア海岸町の、のどかな光景であった。

大矢アキオの欧州通信『ヴェローチェ!』
筆者:大矢アキオ(Akio Lorenzo OYA)---コラムニスト。国立音楽大学卒。二玄社『SUPER CG』記者を経て、96年からシエナ在住。イタリアに対するユニークな視点と親しみやすい筆致に、老若男女犬猫問わずファンがいる。NHK『ラジオ深夜便』のレポーターをはじめ、ラジオ・テレビでも活躍中。主な著書に『カンティーナを巡る冒険旅行』、『幸せのイタリア料理!』(以上光人社)、『Hotするイタリア』(二玄社)、訳書に『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)がある。

《大矢アキオ Akio Lorenzo OYA》

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