【G-BOOK全力案内ナビ インタビュー】「ビッグデータの活用で本物の“未来型ナビ”を目指す」

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野村総研 G-BOOK全力案内ナビ
野村総研 G-BOOK全力案内ナビ 全 12 枚 拡大写真

トヨタ自動車と協業して野村総研が提供しているAndroid向けのナビアプリ「G-BOOK全力案内ナビ」が8月のバージョンアップで、au oneマーケットのかんたん決済に対応し、月額263円でオペレーターサービスとプローブ/VICSという強力なサービスが利用できるようになった。

今回のバージョンアップの狙いと、コラボレーションの効果、そして今後目指すナビアプリの姿について、企画開発を統括したユビークリンク事業部の島次志氏に話を聞いた。

◆矢継ぎ早のバージョンアップで機能向上

----:G-BOOK全力案内ナビはiPhone/Android双方のプラットフォームで2010年12月1日に同時リリースしましたが、その後のG-BOOK全力案内ナビのバージョンアップの状況をまずご説明ください。

島:2011年の1〜2月にかけてはスマートG-BOOKとの親和性を高めるための改善をおこないました。3月にはオービスお知らせ機能を、5月にはiPad対応など改良はおこなってきました。さらに8月1日でのバージョンアップでは、Android端末向けの課金部分で大きく手を加えました。

----:auでの月額決済に対応したというニュースですね。

島:G-BOOK全力案内ナビは、ナビやプローブ、オペレーターサービスが利用できる基本機能で900円、VICSや交差点拡大表示も可能な「プレミアム」ですと1600円で、半年間利用できます。しかし、AndroidマーケットですとGoogleのアカウントでクレジットカードの登録が必要だったりと課金部分がハードルになっていました。今回のバージョンアップにより、au oneマーケットでの「かんたん決済」に対応し、プレミアムの機能が月額263円でご利用できるようになりました。

----:キャリア月額課金ということでフィーチャーフォン時代の課金体系を踏襲したと言うことですね。ユーザーの反応はいかがですか。

島:リリース後、新規会員はかなり伸びています。ある程度狙い通りに進んでいる印象はありますね。

◆トヨタとの協業で目の当たりにした「顧客第一主義」の姿勢

----:G-BOOKとの連携機能の開発に当たり、トヨタとの協業で苦労された点や他の企業との違いを感じたということはありましたか。

島:当社は数多くの企業とお付き合いはありますが、トヨタ自動車さまとの協業で感じたのは、サービス企画からシステム開発に至るまで、プロセスの管理や品質に対するこだわりがある、ということですね。「お客さまがちゃんと使えるのか」「お客さまに分かりやすいのか」といった顧客第一という考えが浸透しています。

----:それが自動車産業の文化なのかもしれませんね。

島:システム開発をやっていると自分たちの枠の中で考えてしまい狭い視野になりがちなのですが、今回の協業ではお互いに分かりづらさ・迷いをできるだけ排除しようという姿勢を持って取り組むことができたと思います。

◆G-BOOK全力案内ナビと全力案内!ナビの棲み分けは

----:G-BOOK全力案内ナビの提供開始から8カ月余りが経過しましたが、どのような手応えを感じていますか。また、本体の「全力案内!ナビ」との差別化はどのように意識されてきましたか。

島:いわば“素”の全力案内!のプロモーションでは、プローブの強みを活かして「渋滞に強いナビ」というカー機能を中心に訴求していましたが、携帯電話で全力案内!をスタートした時は、「おでかけ全般をサポートするナビ」という意識でサービス展開を考えていました。それは現在でも引き続いていまして、Android版は乗換や徒歩ナビも含めたオールインワンのナビですし、iPhone向けでも乗換案内アプリ「全力乗換」を別に用意しています。

----:自社単独のアプリでは総合的なナビを展開し、トヨタとの協業であるG-BOOK全力案内ナビではカーナビに特化した形で訴求していくということですね。

島:はい。

◆マルチプラットフォーム化を前提にアプリ/サーバを開発

----:先日実施したe-TOYOTA部の松岡様へのインタビューでも、マルチプラットフォーム/マルチキャリアでの展開がスムーズに進んでいることが、パートナーとして選定された理由の1つという話が出ていましたが、こうした開発体制を実現できている理由をお聞かせください。

島:確かに、全力案内!を提供しているプラットフォームを掛け合わせていくとかなりのワイドバリエーションです。携帯電話に加えて、iOSやAndroidだけでなくWindows Phone、フィーチャーフォン向けもあります。さらに一部のサービスにはオプション機能なども提供しています。これらの複数のプラットフォームで運営できるノウハウ・体制は、アプリ側もサーバ側も共通のモジュールで構成されているという全力案内!のシステムアーキテクチャに特徴があるためです。この共通モジュールの上に「ラッパークラス」という表面部分を被せるというイメージです。

----:必要最小限の開発チューニングで、プラットフォーム間の転用が可能なのですね。

島:矢継ぎ早のバージョンアップはこうした仕組みがないと不可能です。「後々手間のかからない設計」は、当初から非常に時間をかけてやってきた部分ですね。メインテナンスも事前の検証をして手を加えている。

----:携帯電話でのサービスをスタートした時から、プラットフォームが増えていくというのは織り込み済みだったということでしょうか。

島:プラットフォームだけではなく、BtoCだけでなくBtoBでの活用も視野に入れていました。つまり業界別や顧客の嗜好も考慮して開発した結果、プラットフォーム間の差異を吸収できる仕組みは必然でした。

◆ビッグデータの活用で本物の“未来型ナビ”を目指す

----:Androidは機種数が多く、各機種への対応や検証に苦労されているアプリベンダーもあるようですが。

島:おっしゃる通り、Androidは画面解像度のバリエーションが多いので、機種ごとでカスタマイズしなくていいように、ある時点から機種の解像度の差を吸収できるように作り変えています。

----:では最後に、全力案内!ナビの目指すところをお聞かせください。

島:G-BOOK全力案内!ナビではトヨタ自動車のご協力のもと、ひきつづき車ナビに特化して進化させていきますが、単独サービスの全力案内!ナビでは異業種とのコラボレーションは今後も積極的に仕掛けていきます。FacebookのチェックインやGREEとの連携など、他社に先駆けた先進的な事例を手がけてきました。今後もこうした取り組みの姿勢に変化はありません。

----:全力案内!といえばプローブの印象も強いのですが、プローブの考え方をさらに推し進めたサービスも考えていますか。

島:おっしゃるように、当社にとってプローブは最大の強みです。このプローブデータで生み出した交通情報のように、大量の情報を収集解析することで、サービスの価値を高める「ビッグデータ」を活用したビジネスが大きな飛躍を遂げつつあります。コンシューマ向けのGIS(地理情報システム)サービスだけでなく、企業あるいは公共に向けたものとして新しいサービスを生み出せるものと考えています。

----:全力案内!はマルチプラットフォーム、マルチターゲットを目指す、と。

島:全力案内!はサービス当初から枕詞として「未来型ナビ」を謳っています。今後は他社ではできない、たとえばテキストマイニング的な手法を取り込むなど、ビッグデータを活用する未来的なナビゲーションを実現させたいですね。

《聞き手 三浦和也》

《まとめ・構成 北島友和》

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