電子化ならではの付加価値

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鳴門教育大学准教授 藤村裕一氏
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 学校における情報セキュリティ環境向上を支援する団体である教育ネットワーク情報セキュリティ推進委員会(ISEN)は10月7日と8日、校務情報化と学校におけるクラウドコンピューティングの利用を考える「学びのイノベーション&セキュリティフェア」(http://school-security.jp/event/)を開催する。クラウドの利用など、教育現場におけるICT化の現状に関して、ISEN委員長を務める、鳴門教育大学准教授 藤村裕一氏に聞いた。

--教育現場における情報化の現状を教えてください。

 文部科学省による「教育の情報化ビジョン」によれば、教育の情報化は「子どもたちの情報活用能力の育成」「情報通信技術を活用したわかりやすく深まる授業の実現」「情報通信技術を活用した情報共有によるきめ細かな指導、教員の校務の負担軽減」の3つのカテゴリーが挙げられています。

 3つめの校務の情報化に関して、文部科学省の委託で平成18年度に実施されたアンケート調査「校務情報化の現状と今後の在り方に関する研究」によれば、5,486校の学校のうち37%が、344か所の教育委員会のうち45%が、校務の情報化を「是非必要である」と回答しています。「必要である」も含めれば学校で83%、教育委員会で96%が校務の情報化を必要と考えています。

--クラウドコンピューティングの利活用は進んでいますか?

 経済産業省IT戦略本部による平成22年5月11日の決定では、教育における新たな情報通信技術戦略として、すべての国民が情報通信技術を自在に活用できる社会を実現するために、2020年までに情報通信技術を利用した学校教育・生涯学習の環境を整備することが記載されています。その具体的取組の中で「クラウドコンピューティング技術の活用も視野に入れた教職員負担の軽減に資する校務支援システムの普及」と言及されています。

 こうした状況を受け、私が主査を務める総務省の教育分野サービス展開委員会は、「校務分野におけるASP・SaaS事業者向けガイドライン」を平成22年10月に公表しています。

 そして、翌平成23年4月28日に文部科学省が公表した「教育の情報化ビジョン」では、「クラウド・コンピューティング技術の活用等」の項目で、「校務におけるクラウド・コンピューティング技術の活用について、試行的な取組を行いつつ検証」と記載されました。

--校務情報化を成功させるポイントは何でしょうか?

 今あるものを電子化するだけの校務情報化から、電子化ならではの付加価値をつける情報化へと、校務情報化のパラダイムシフトが行われる必要があります。

 現在、指導要録等原本の完全電子化の動きがありますが、高度なセキュリティと、法律で定められた20年間の保存に耐える信頼性が必要になります。また、校務用PCが1人1台全国配置されることで、校務情報化アプリの導入が加速し、多様なベンダの参入が予測されています。専門知識やビジョンがないまま、こうした動きを進めることには危険が伴うと考えています。

 校務情報化にあたっては、意識共有や全国標準化、セキュリティポリシーの策定など、慎重に検討すべき課題があります。

 先の東日本大震災では、職員室の校務用PCや書類が流されたりするなどの被害が報告されました。今後は災害対応の視点からも、教育クラウドの活用が重要になるでしょう。

藤村裕一
 鳴門教育大学 准教授
 文部科学省 学校教育の情報化に関する懇談会教員支援WG 委員
 総務省 教育分野サービス展開委員会 主査
 教育ネットワーク情報セキュリティ推進委員会(ISEN)

校務情報化のパラダイムシフト、教育現場ICT化の現状と課題

《編集部》

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