気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2011年9月16日付
●復興財源、JT・メトロ株売却へ、政府増税1〜2兆円圧縮(読売・1面)
●三菱重と経営統合否定、日立社長、事業統合には含み(読売・10面)
●臨時国会、一転延長へ、14日間程度、野党に譲歩(朝日・1面)
●スズキ、車逆輸入検討、円高利用小型ミニバンなど(朝日・9面)
●三菱自動車が提携を強化へ、マレーシア車大手(朝日・9面)
●社説:本社機能移転、立地したくなる国に(毎日・5面)
●ホンダ、露で自動車組み立て検討(産経・10面)
●VWとの提携に含み、スズキ会長「資本関係ない形で」(産経・11面)
●「ゴルフGTI」35周年プレミア(産経・11面)
●東京ゲームショウ開幕、「ソーシャル」に熱視線(東京・7面)
●提携解消問題、スズキに反論、VW(東京・7面)
●スズキの選択:「対等」こだわり譲れず「GMの記憶」誤算に(日経・13面)
●部品生産、インドネシアで増強、トヨタ系各社、ASEANに需要(日経・13面)
ひとくちコメント
スズキが独フォルクスワーゲン(VW)に資本・業務提携の解消を申し入れたことで、両社の思惑の違いなどを巡って、その余震とも思える動きが続いている。
各メディアも真相解明に躍起だが、きょうの産経は、スズキの鈴木修会長兼社長を直撃取材し、「(VWと)資本関係のない業務提携ならあり得る」と語り、資本関係を解消しても提携関係を維持する可能性があると、報じている。記事によると、今後の提携については「(軽自動車で提携している)日産自動車やマツダ、(ディーゼルエンジンの供与を受ける)伊フィアットなどとは資本のやりとりはない。こういった形ならVWとの提携もあり得る」と説明したという。
相手に選択の幅を広げるという大人の解決をめざす鈴木会長らしい言い回しである。だが、VWのヴィンターコルン社長は、保有する19.9%のスズキ株を「持ち続ける」と発言しており、「業務提携はなくても資本関係ならあり得る」と、鈴木会長の発言とは正反対にも受け取れる。
東京はVW広報幹部が同紙に文書で回答した内容を掲載。「経営哲学が相いれなかった」と説明していたこと対して「提携で自主性が危うくなるというスズキの疑念は間違っている」と反論したという。
朝日はスズキの田村実副社長を取材したが、VW問題には触れずに「アジアで生産した小型車を日本に“逆輸入”して売ることを検討している」と報じた。
こうした中、日経が「スズキの選択」とのタイトルで短期連載を開始した。第1回では「VWとの提携でスズキは徹頭徹尾、『対等』にこだわった」と指摘。鈴木会長はかつてのGMのようにVWにも「家庭教師」の役割を期待したが、経営環境が大きく変化する中では誤算になったと伝えている。
日経も連載の書き出しに「スズキは巨大メーカーの後ろ盾を自ら捨てる道を選んだ。何があったのか」と疑問を投げかけているが、どんなに高い月謝を払っても「家庭教師」と学ぶ立場の「学生」が“対等”という関係は成り立たない。鈴木会長の意をくんでどんなスタンスで交渉に臨んだのかという検証も必要になるだろう。