【アウディ A6 試乗】もうひとつの選択肢…松下宏

試乗記 輸入車
アウディA6
アウディA6 全 10 枚 拡大写真

フルモデルチェンジを受けたアウディ『A6』について、少しリファインされたシングルフレームグリルを継承したアウディ顔のデザインは、LEDヘッドライトの採用(オプション)などはあるものの、ややインパクトに乏しいように思えた。

全体的なシルエットは従来のモデルと変わらないし、遠くから見ると『A4』などと見分けがつきにくいからだ。

インテリア回りの仕様は、オプションでウォールナットのほかいろいろなデコラティブパネルが選べる設定になっていて、アウディならではの質感が表現されている。ただ、この質感のレベルはこれまで競合車をリードしてきたアウディとしては当然ともいえるものだ。

2機種のエンジンのうち2.8リットルの自然吸気仕様は、150kW/280Nmの実力。A6は全車がクワトロ4WDで重量がやや重いが、逆にアルミパネルの採用などで軽量化を図った部分もあるので、これで十分という印象。

吹き上がりはスムーズだし、低速域のトルク感もまずまずだから、ボディの重さをあまり感じさせない走りが可能だ。

3.0リットルはスーパーチャージャー仕様で、220kW/440Nmの実力。旧型の時代にV8に代えて搭載された経緯のあるエンジンで、こちらは余裕十分というか、豪快な加速フィールが味わえる。

軽くアクセルを踏み込むだけで気持ち良く加速が伸びて行き、あっという間に高速域にまで達する。A6にとって過剰といえるくらいの性能である。

7速「Sトロニック」に変わったトランスミッションの変速フィールはスムーズそのもの。街中を走行中は意識していないと変速に気付かないくらいの滑らかさだ。ただ、逆に街中ではなかなか7速にまで入らない。

静粛性のレベルも高くて快適なクルマだったのがA6の全体的な印象。試乗車は両車ともオプションの20インチタイヤを履いていて、この乗り心地はかなり硬めだった。

外国車は日本で大きめのタイヤを採用することが多いが、20インチはあまりにも大きすぎる。A6を買うユーザーならタイヤのコストなどはあまり気にしないかも知れないが、交換時やスタッドレスタイヤを買うときの出費がべらぼうな金額になる。またタイヤサイズも影響してか、最小回転半径が5.7mとちょっと大きめだ。

価格は「2.8FSIクワトロ」が610万円、「3.0TFSIクワトロ」が835万円の設定。メルセデスベンツ『Eクラス』が1.8リットルの直噴ターボで634万円から、BMW『523i』が2.5リットルで610万円からであるのに比べると、2.8リットルのA6はそのままでも優位に立つ。

さらに4WDであることや本革シートを標準装備するなどを含めて考えると、競合車に対してかなり割安な設定だ。もうひとつの別の選択肢としての存在意義は十分にある。2.8FSIクワトロが現実的な選択だろう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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