本田賞決定…触媒化学の研究で環境問題に貢献

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本田賞受賞 ガボール・ソモルジャイ博士
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本田財団は27日、2011年の本田賞として、触媒化学に基礎科学の研究手法を取り入れ、経験値だけに頼らない表面科学の地位を確立した米カリフォルニア大学バークレー校化学科教授のガボール・ソモルジャイ博士に授与すると発表した。

触媒化学は、有用な物質を温和な条件で効率よく合成するための機能材料の研究を通じ、広く人類の福祉に寄与してきた。また近年では、自動車排出ガスの浄化触媒などにも利用され、将来は燃料電池触媒、さらには究極のクリーンプロセスである水から水素を発生させる光触媒等のエコテクノロジーの発展にも大きく寄与することが期待されている。

ソモルジャイ博士は半世紀近くにわたり、固体表面とその重要な機能の一つである触媒化学における分子論的描像を明確化するための方法論を確立、測定装置を自己開発して研究を推進。極めて重要な分野でありながら経験値に頼っていた触媒化学に基礎科学の手法を取り入れ、表面科学として研究分野の地位を確立し、「近代的表面科学の父」とも呼ばれている。

博士は、反応が生み出す分子はナノ粒子触媒の大きさと形状によって制御されることを発見。これが化学廃棄物を伴わずに狙い通りの生成物分子のみを生産する「グリーンケミストリー」の発展につながっている。

また、博士の研究成果は、燃料や化学薬品等の製造に必須な触媒粒子表面の化学反応や、電池や燃料電池の生産時における電気メッキ等の電極表面化学反応にも応用されている。さらに、氷の滑走面の化学組成と特性改良させた高速スケートリンクの製造をはじめ、金属、ガラス、半導体等の超薄表面に用いられる塗膜など、工業製品にとどまらず医療、生化学、光科学、マイクロエレクトロニクス、データ保存等へ広く応用され、社会に寄与している。

同財団は、壮大かつ独創的手法を用いて基礎から応用までを研究し、世界の産業界が抱える環境問題にも貢献していることは、エコテクノロジーの具現化の一例であり、本田賞にふさわしいとしている。

第32回本田賞授与式は、11月17日に東京の帝国ホテルで開催され、副賞として1000万円がソモルジャイ博士に贈呈される。

《纐纈敏也@DAYS》

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