気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2011年9月30日付
●東電賠償額4兆5400億円、第三者委試算、リストラ倍増要求(読売・1面)
●車大手東南アジア強化、需要増で新工場続々(朝日・11面)
●富士重も燃費改善、15年に3割、10年比で(朝日・11面)
●自動車各社、円高対策を加速、東南アジアで増産(産経・11面)
●海外M&A隆盛期に、買い手、内需・中堅企業も(日経・1面)
●いすゞ、タイ生産5割増強、ピックアップトラック、輸出業務も集約(日経・13面)
●日産、2人乗り電動車、公道実験、来月から横浜市で(日経・13面)
●ホンダ、アフリカ向け二輪車発売(日経・13面)
●廃車、11か月連続減、8月42%、中古車市場に流出(日経・27面)
ひとくちコメント
いすゞ自動車がタイで人気の高いピックアップトラック事業を強化するという。総額180億円を投じて2012年10月をメドに新工場を建設し、現地での年産能力を現行より5割強多い40万台に引き上げる。
また、これまで三菱商事が中心に手がけていたタイの輸出業務を現地法人の「いすゞモータース・インターナショナル・オペレーションズ・タイランド(IMIT)」への出資比率を引き上げて、タイを全世界へのピックアップトラックの輸出拠点と位置付ける方針という。
バンコクを訪れているいすゞの細井行社長が現地で記者会見したもので、きょうの朝日、産経、日経などが報じているが、いすゞのタイ事業強化の記事だけを取り上げているのは日経のみ。朝日と産経はいすゞをの社長会見をきっかけに「車大手東南アジア強化、需要増で新工場続々」(朝日)、「自動車各社、円高対策を加速、東南アジアで増産」(産経)と、日本車メーカー各社が東南アジアへの投資拡大を加速している状況を一覧表にしてわかりやすく取り上げている。
その図表をみると、タイの場合、今回発表したいすゞ以外に、三菱自動車がラムチャバン工業団地内の既存の生産拠点に第3工場を建設中で、12年3月には世界戦略車「グローバルスモール」の生産を開始するほか、スズキも新工場を稼働。インドネシアではダイハツが12年末に新工場、トヨタは13年初に第2工場を稼働させる予定という。日産も東南アジアの生産能力を10年度の35万台から16年度までに70万台に倍増する計画だ。
1980年代後半、日本の自動車各社はドル箱市場の北米に相次いで新工場を稼働させた。それから20年が過ぎた今日では、経済成長が著しい東南アジアが自動車工場の建設ラッシュ。今夏、バンコクでタイトヨタの棚田京一社長を取材した際、「来年以降、バブルがやって来る」と語っていたが、お膳立ては整いつつあり、その予感が的中しそうだ。