【Fニッポン 最終戦】同門対決でロッテラー悲願達成、中嶋一貴は届かず

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最終戦もてぎ「レース1」で逃げ切り勝ち、ロッテラーは初戴冠を決めた。
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「全日本選手権フォーミュラ・ニッポン」は11月5〜6日、栃木県・ツインリンクもてぎで今季のシリーズ最終戦を開催。参戦9年目のアンドレ・ロッテラー(トムス・トヨタ)が、悲願の初タイトルを獲得した。

最終第7戦は変則の2レース制大会。まずドライコンディションで争われた土曜の予選で、ロッテラーは“ダブルポール”を確保する。これで1点×2=計2点を選手権ポイントに加算し、追いかける同僚・中嶋一貴を6点差、奇跡の逆転連覇を狙うジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(インパル・トヨタ)を15点差へと引き離して、自己の優位を拡大。この段階でランク4位、ホンダ勢唯一のタイトル候補であった塚越広大(ダンディライアン)は圏外へと追いやられてしまった。オリベイラの可能性ももはや風前の灯。

ロッテラーは翌決勝日のレース1=約110km(23周)ノーピット前提の短距離戦で、ポールから首位を守り切って優勝すればライバルの成績に無関係で王座確定、という絶対有利な状況をつくりだしたのである。

実はロッテラー、Fニッポンのシリーズ戦でのポールポジション獲得(予選を戦っての1位)は、なんと新人だった2003年以来で、これが通算2度目&3度目。決勝の強さは抜群ながら、なぜか予選のひと押しが足りずに王座を逃し続けてきた面もあるだけに、大願成就のかかる最終戦、これは最高の出足だ。

決勝日の朝、もてぎは霧がかった微妙な天候に。雨滴こそほとんど落ちてこないが、路面はウエット。出走17台中14台がスリックタイヤを、そして3台がギャンブル的にレインタイヤを履いて、レース1のスタートに臨んだ(トムス勢はともにスリックを選択。結果的にレイン選択の賭けは「外れ」に)。

ロッテラーはしっかりスタートを決めて、先頭キープ。これに食い下がっていったのが、3番グリッド発進からスタートで2位に上がった一貴である。王座をかけての同僚直接対決だ。差は1秒台前半で推移し、一時は一貴が1秒を割り込むところまで肉迫する場面もあったが……。

「コースの後半で一貴が速かったけど、彼との差をマネージメントして走ることができていた」というロッテラーの牙城を崩すには至らず。逃げ切ってシーズン4勝目を挙げたロッテラーが、参戦9年目、本当に悲願のチャンピオン獲得を成し遂げた。

表彰台でマイクを向けられると、まず「サンキュー! チャンピオーン!」と叫んだロッテラー。

「マシンは素晴らしい仕上がりだったし、今年は本当にグレートなシーズンになった」と喜びを語り、さらに彼の戴冠を待ちわびていた日本のファンに対して「今年は震災もあって日本が難しい状況にあるなか、こうして応援してくれてありがとう。本当に感謝している。午後のレースも変わらぬ情熱で戦うから、楽しんでいってほしい」と語りかけた。今季はルマン24時間レース総合優勝も成し遂げており、SUPER GTこそ本調子になかったものの、ロッテラーにとっては、まさに“グレートなシーズン”となったのである(GT500ドライバーズタイトルは過去に2度獲得経験あり)。

一方、惜敗した一貴は「抜けないコースなので、スタートで前に出ることを目指したんですけどね。それ以降もプッシュし続けて、アンドレのミスを誘おうとしたんですが、彼はミスをしてくれませんでした。でも、ずっと予選みたいな感覚で走りきることができたので、今はすがすがしい気持ちです」と、同僚の王座戴冠を笑顔で祝福。レース2を残して、参戦初年度でのシリーズ2位が確定、F1レギュラー参戦経験者の凄みを充分に見せつけたシーズンであったと言えよう。

既に決まっているチーム部門タイトルと併せ、トムス勢がシリーズ上位を完全制圧。舘信秀監督も「今、F1を走っていても不思議ではない2人だと思います」と、“最強コンビ”を讃えた。

午後のレース2(約160km/34周)は、強い雨の中での戦いとなり、途中、セーフティカーランの最中に多重接触事故が起きて赤旗中断するなど混乱したが、ここでもロッテラーが逃げ切り勝ちを収めてシーズン5勝目。一貴が2位に続いて、トムスは連続1-2を達成した。3位に入ったオリベイラが塚越(レース1では3位)を再逆転してシリーズ3位に。これで今季シリーズ戦はトヨタエンジン搭載車が全勝。ホンダ勢は0勝に終わった。

さて、シリーズ戦は幕を閉じたが、Fニッポンは今月11〜13日開催の富士スプリントカップへと続く“短距離レース3連戦モード”。ロッテラーは同大会の連覇と「2011年完全制覇」を狙い、他の選手は新王者に一矢報いるべく、今年最後の大一番へと向かう。

《遠藤俊幸》

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