「今年は日産『リーフ』で決まり!」投票前からそう囁かれていたのである。いざ、蓋を開けてみれば圧勝。開票がつづくなか、一度もその座を脅かされることなく、「今年のクルマ」に選ばれた。
僕がCOTY大賞条件としている基準は明確でシンプルである。「10年後に振り返った時に、その時代背景などを含めて情景が蘇ってくるようなクルマ」である。その意味で日産リーフは基準を満たす。
しかも、ただエコ時代を象徴していたというだけでなく、クルマとしてもしっかりとつくられているのだ。エコカーのほとんどが、エコであることだけに開発予算や魂が投下され、クルマとしてはつまらない。だが、リーフはエコだけに限定していない。ハイブリッド系を含め、ライバルを完全に駆逐した。
インポートに輝いたのは、不思議なことに『Cクラス』だった。マイナーチェンジモデルがまさか獲得するとは想像すらしていなかったが、それも衝撃的な出来事として記憶に刻まれるだろう。クルマとしての完成度のあいかわらずの高さが、そんな負の条件を覆って余あるということなのだろう。ということはつまり、イヤーモデルを追加しつづける限り、来年も再来年も、Cクラスでいけるという可能性を指針した。
木下隆之|レーシングドライバー/文筆業
1960年5月5日、東京生まれ。コラムやエッセイの連載多数。基本的に乗り物大好き。好奇心旺盛。作詞にも挑戦中。レース番組コメンテーター。ドイツ・ニュルブルクリンクでレーシングスクールを主宰。講演会多数。神戸テクニカルカレッジの非常勤講師を勤めるなど多彩に溢れる。レース歴は25年。大学生時代に全関東学生選手権王者。日産契約ドライバー時代にはF3、全日本ツーリングカー選手権、全日本GT選手権で優勝多数。ニュルブルクリンク24時間レースには91年から参戦開始し、最多出場記録更新中。スーパー耐久では、過去に5度のチャンピオンを獲得。2007年には全8戦すべて優勝という完全制覇を達成。自ら最多勝利数記録更新中だ。