【2011年10大ニュース座談会】その4 トヨタの積極提携は「保険」の意味も

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トヨタ、セールスフォース 提携会見
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 トヨタの積極提携は「保険」の意味も

石田---2011年末までの交通関係で最もホットな話題が、自転車問題です。通行帯の問題から、ノンブレーキ・ピストのような整備不良車、そしてマナーの問題など多岐に渡ります。

高木---最たるものは通行帯の問題なんですかね、「自転車は車道を走れ」という議論が加熱しています。

石田---歩道の走行は一部容認といった状態だったのですが、今や「歩道走行が当たり前」で、歩行者を蹴散らすようにして走ることが問題となっています。

中島---とはいえ、車道も自転車が走りやすい環境じゃないし、危なっかしい自転車が多いので、自動車ドライバーの視点から見ると「ジャマ」ですね。

三浦---震災以降、比較的長い距離でも自転車を使う、いわゆる「通勤ニスト」が増えたことで路上台数が閾値を越えたというか、看過できないレベルに達したということなのかなと。全体の台数が増えて、危険な走行をする自転車も増えたというか。

石田---警察も取り締まりを強化していく流れです。

中島---警察がコントロールを始めたということは、バイクと同じような経緯をたどるんじゃないでしょうか。今後は減っていく方向になっていく。

三浦---バイク市場は警察が潰したという側面も含んでいる気がします。

石田---自転車も悪質な運転については今も交通違反として処理していますが、件数が増えるようならば非犯罪化の行政罰として扱い、違反金としての聴取に転じるかもしれない。

高木---マナーといえば、駅前の放置自転車が激しくジャマです。

三浦---それは個人的な感想に寄りすぎているんじゃない?

石田---クルマ以上に身近な乗り物だけに、意外と熱い議論ができるのですが、続けると終わりそうにないので次いきましょう。

宮崎---次はトヨタの新提携ですね。

三浦---これはジャパン・パッシング、トヨタ・パッシング対策というか、「保険」の意味合いが大きいんじゃないかと。昨年のテスラなんかはそうですよね。「アメリカ企業と提携した」という事実がアメリカで効いた。今回のマイクロソフトなんかも「アメリカを代表する企業との提携」だし、一緒にやっていくということが重要。

宮崎---BMWは欧州向けの保険?

三浦---かもしれないし、現地調達率を重視するようになったということでもある。

高木---今はティア1、ティア2だからといって現地に連れて行かないからね。

三浦---だから系列内も相当に気にしている。今までは「一緒に行こう、トヨタの品質は保ちましょう」だったけど、部品価格にひきずられて安くできないということもあった。それよりは「クオリティは落ちるかもしれないけど、この値段でできました」の方が今は重視されつつある。

宮崎---いずれにしても次世代車が対象ですよね。

三浦---それはどうかな。クルマが変わるからサプライチェーンも変わるのか、それとも変わるタイミングだからこそなのか。国内の系列は死守するけど、海外はそうではないという意思の表明…かな。

宮崎---次は円高ですね、実は去年も「円高」は入っているのですが、去年のそれとはレベルが違います。

小松---去年は80円ぐらいで「円高」と言っていたけど、今年は「75円台」に達している。

中島---本当に「超円高」ですよね。

高木---80円がベースラインで、各社とも85円ぐらいを考えていたのに、それがまさかの75円台。

中島---トヨタや日産、ホンダはそれでも「日本での生産や雇用は守る」と言っているけど、実際に「どうやって稼ぐのか」という問題ですよね。円高で輸出はできない、国内は小さいクルマしか売れない。補助金だって雇用の確保をたてにして、どうにか決まったようなものですからね。

小松---今回の円高は対ドルではなく、全方位ということも問題ですね。円が独歩高なので、どこにも輸出できなくなってきている。

三浦---タイの洪水によるサプライチェーン寸断より、円高のインパクトの方がメーカーにとっては大きかったかもしれない。

石田---円高だけど、輸入車もガソリンも安くなっていない。誰が円高メリットを受けているのでしょう。

三浦---自動車業界はともかく、スーパーマーケットは確実に儲けていると思うよ。

(つづく)

■3月11日以降が「2011年」

■「サプライチェーン」がキーワードになった

■東京モーターショー11をいかに評価すべきか

《レスポンス編集部》

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