熱気球競技を空中から見る---自然の威力を体感

自動車 ビジネス 国内マーケット
ツインリンクもてぎオーバルコースを高度1kmから望む。白いテープ部分は震災での破損箇所。
ツインリンクもてぎオーバルコースを高度1kmから望む。白いテープ部分は震災での破損箇所。 全 14 枚 拡大写真

熱気球競技の国内メジャーシリーズ「熱気球ホンダグランプリ」。国際公認レースを兼ねた11月の最終戦「2011とちぎ熱気球インターナショナルチャンピオンシップ」は、激闘の末に栃木出身のパイロット、藤田雄大選手が優勝、2位は水上孝雄選手と、欧米から参戦してきた名うての世界ランカーを抑えて日本人パイロットがワンツーフィニッシュを飾った。

大自然の中で風だけを頼りに飛ぶ熱気球レースは、文明生活の中ではともすると認識が気迫になりがちな自然の威力を再認識させられるという点で、実に意義深いものがある。高度によって風向、風速が異なるばかりでなく、その状況は刻一刻と変化する。

パイロットと地上クルーは無線で緊密にコミュニケーションを取りながら高度を変化させて風を捉えるのだが、それでも風の力だけで地上に設けられたターゲットに正確に向かうのはとてつもなく難しい。世界クラスの選手でも大失敗することは往々にしてある。

自然の営みの中でミスを犯してしまったとき、重要なのは何か。日本の熱気球競技黎明期に世界を目指して京大から参戦したことで知られる町田耕造・熱気球運営機構会長は「試練を前に立ち止まらないこと」だと語る。

「自然は気まぐれで、その中では人間は無力な存在です。いい風がばったり止まったり、予想外の風が吹いたりもする。うかうかしていると着陸も難しいような山に飛ばされたり。そういう時に一番大事なのは、立ち止まらないこと。どんな厳しいことであっても、それはすでに起こってしまったことで変えられないんです。そこで立ち止まって考えこんでも状況は良くなることはなく、確実に悪くなっていく。現実をあるがままに受け止めて、行動しながら考える。これが自然の力を利用する者の鉄則だと思います」

熱気球は人間にとって最も歴史の古い航空機で、別にエコロジーな乗り物ではない。大型の気球になると、1~2時間のフライトでプロパンガスを何本も消費してしまうなど、エネルギー消費の面ではむしろ効率は低い。が、単なる環境負荷低減ばかりがエコというわけではない。舵や推進装置を持たず、ただ風の力だけを利用して飛ぶという行為の中で、自然の中で生身の人間ができることの小ささや自然の利用法、また自然が頻々ともたらす試練に出会ったときの立ち振る舞いなど、多くのことを知るきっかけになるという点で、文化的にエコロジーなのが熱気球なのだ。

熱気球ホンダグランプリは来年2012年も桜の咲く季節に行われる渡良瀬バルーンレースを皮切りに、年間5戦が行われる。のんびり浮かんでいるだけに見える熱気球も、現場で見ていると飛び方も様々ということも見て取れるなど、変化があって面白い。開催時期がレジャーシーズンと重なることからも、観戦は行楽ドライブのきっかけとしてもお勧めだ。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. ヤマハのネオレトロ『XSR900』、外装キットが国内20%超の装着率で「嬉しい誤算」その理由とは?
  2. ホンダ『フリード』がニューレトロに!? ダムドが専用ボディキットのデザインを先行公開 発売は2025年冬
  3. フィアット『デュカト』2台をひとつに、キャンピングカー製造を効率化…独キャラバンサロン2025
  4. ホンダ『S660』で120馬力を実現!? HKSが高性能ターボキット発売
  5. いま“軽さ”で効くのはどこだ!? ホイール・バッテリー・素材置換で走りは変わる~カスタムHOW TO~
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る