【トヨタ プリウスPHV 発売】燃費は使い方次第で無限大…開発責任者

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トヨタ自動車はプリウスPHVを発売
トヨタ自動車はプリウスPHVを発売 全 30 枚 拡大写真

トヨタ自動車は30日、プラグインハイブリッド車(PHV)の『プリウスPHV』を発売した。家庭用電源などから充電することができ、EV走行距離の26.4km以内であれば、ほぼEVとして利用することができるという。

プリウスPHVの「EVモード」とHV車の『プリウス』にある「EVドライブモード」は全くの別物といっていい。プリウスにある「EVドライブモード」は、車速55km/h以下、航続距離は数百mから2km程度、主に早朝や深夜の住宅街でのエンジン始動を抑えるものとして存在している。一方のプリウスPHVの「EVモード」は、100km/hまでEV走行が可能で、EVで走行できる距離は26.4kmと、近距離の移動であればほとんどEVとして利用することができるといったものだ。

そのプリウスPHVの開発責任者、田中義和氏に話を聞いた。

●環境車は普及しなければ意味がない

…プリウスPHVの開発の狙いは?

「トヨタでは、環境車というものは多くのユーザーに乗ってもらい、広く燃費効果が出ないと意味がないと考えています。今回のプリウスPHVに関しても、“いかに早く普及させるか”というのを目標に開発を進めてきました」。

「限定発売したリース車のプリウスPHVは実証試験の意味合いが強かったのですが、今回のモデルは普及車種としてお客様に乗って頂けることを念頭に開発しております」。

「具体的には、価格面や収納などの使用性について、リース車からかなり発展させています。バッテリーはまったく新しいものになっており、リースで提供していたプリウスPHVよりも100kg程度の軽量化を実現し、現行プリウスとの比較で約50kgの重量増に納めています。結果、EV走行距離はリース車両を超える26.4km、HV走行燃費もプリウス以上の31.6km/リットル(JC08モード)を実現しました」。

「プリウスPHVのEVモードは、待ち乗りで普通に加速する分には、100km/hまでエンジンはいっさいかからずEVで走行可能です。もちろんHV車なので、アクセルをベタ踏みしてしまいますとエンジンがかかってしまうのではありますが…」

●燃費は使い方次第で無限大

…一充電で走る走行距離が、EV走行距離の26.4km以内であれば、ガソリンは一滴も使わなくてすむ?

「おっしゃるとおりで、きちんと充電管理をされている状態で、毎回EV走行距離以内で使い続けた場合の燃費は無限大になります。実証試験でも、累積走行距離3000kmで燃費250km/リットルを記録した方もおりますし、現在は無料で充電設備が使えることから、主婦の方などは外出先でもこまめに充電するなど、今後はEVモードを多用した使い方をされる方が増えるのではないかと思います」

●急速充電器はEVのためのセーフティーネット

…急速充電器の「CHAdeMO」に対応しなかったのはなぜ?(プリウスPHVは、AC200VかAC100Vでの充電となる)

「急速充電器はEVのためのセーフティネットとして必要なものなので、ガソリンを入れれば走るPHVが急速充電器を利用していて、EVが急速充電器を使えないというのは問題ですよね。仮にPHVが急速充電器を利用することになると、これは社会問題になると予想しています」

「また、急速充電器というのは5万ワット位の電気を瞬間的に使うため、設置費用も相当かかりますし、電気の基本料金も月額約10万円というため、何カ所も設置できるという性質のものではないのです。政府方針でも200V充電器を増やしていこうということなので、PHVには必要ないと考えました」。

●ライバルはやっぱり、リーフ?

…価格はリーフを意識した?

「あまり関係はありませんが、リーフと比べると相当お安いと思います。Lグレードが設定できればもう少しお安く提供できますが、今回はSグレード以上しか設定がないため、若干高めとはなっています」

…どういった人が購入する?

「ごく一般的なユーザーの方が買われるのではないでしょうか。一日の走行距離が20km以下というのは、日本の平均的な自動車ユーザーで過半数をカバーできますし、EVと違い収納性や航続距離に制約はないので、普通のプリウスを検討されていて充電環境がある人であれば、選んで頂けるのではないかと思います」

プリウスPHVは、急速充電を使用しなくてもAC200V電源での満充電時間は90分と割合短時間で充電が完了する。現状ではEV走行距離は26.4km以内となっているが、今後、外出先での充電インフラが整ってくると、EV走行での活動領域が広がっていくことになりそうだ。

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