マツダ『CX-5』のデザインモチーフは“チーター”である。それは様々な角度からも感じられる。一例として、デザイン本部チーフデザイナーの中山雅さんは、リアデザインを挙げる。
「リアから見たデザインも、チーターがまさに地面を蹴ろうかな、という瞬間です。そういうイメージで見ると、実際には動いていないのに、動きを感じると思いますし、それを表現したかったのです」
計り方にもよるが、CX-5は同セグメントの他車よりも、シートを倒した荷室は広い、と中山さん。しかし、このお尻を表現するためにものすごく苦労した。「SUVというと、テールは垂直にしてタイヤを背負わなければいけないなどとステレオタイプに思ってしまいます。CX-5のように丸いお尻にすると、これで大丈夫なのかと言われる。設計においても作るのが難しいので、駄目になってしまいそうでした」と開発当初を振り返る。
「プリッとしている太ももを表現する丸いお尻は絶対にやりたいし、バックウインドウもガバッと倒したかった。ルーフ自体は後ろに引っ張り、横にまで回り込むスポイラーを付けました。だからこそ、この独特の後ろ姿が生まれたのです」。
中山さんは「マツダにとって、このCX-5は世界で100万台を売って大ヒットとなった初代『アテンザ』と同じくらいの名車だと思います。そのくらいエンジニア全員の気合が入っています」と仕上がりに自信を見せた。