[PV EXPO12]ソーラーパネルメーカー、買取制度に反応

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PV EXPO 2012
PV EXPO 2012 全 16 枚 拡大写真

2012年2月29日から2日の3日間にわたり、東京国際展示場(東京ビッグサイト)において太陽光発電システムに関する展示会「PV EXPO 2012」が開催された。ここでは、目立った展示を行っていたソーラー・パネル・メーカーの展示を中心にご紹介する。なおPV EXPO 2012には、ホンダソルテックや東芝など、一部のパネル・メーカーは参加していない。

2011年12月に開催されたPVJapan 2011と同様、2012年7月から施行される非住宅向けの全量買取制度(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)に向けて、国内外のパネル・メーカーが公共・産業用モジュールを展示、多くの来場者(施工業者やハウスメーカーなど)の関心を集めていた。電力の買取価格によっては、多くのメガソーラー発電所の建設や、オフィスビル・工場などへの太陽光発電システムの導入が見込まれることから、特に海外メーカーを中心に企業向けソーラー・パネルが目立つ展示内容だった。本記事では、国内で住宅向けにパネルを販売しているメーカーを中心に展示内容を紹介する(以下、メーカーの紹介順は社名の五十音順です)。

■ウエストホールディングス
ウエストホールディングスは、独自のソーラー・パネル「TERAS(テラス)シリーズ」などを中心に展示。バックコンタクト方式を採用した新製品「TERAS Cool 100」は、比較的小型(1037×527×35mm)のモジュールながら、最大公称出力100W、モジュール変換効率18.29%を実現するという。

■XSOL(グリーンテック)
グリーンテックは、2011年12月より新たに「XSOL(エクソル)」というブランドで事業を展開することを発表。同時に発表した屋根材一体型の住宅用太陽電池モジュール「XSOL SLIVER(エクソル・スライバー)」を中心に展示を行った。XSOL SLIVERは、単結晶シリコン型ながらセルの形状を格子状とすることで、1モジュールで270Vの出力を可能とし、モジュールを並列で接続できるようにしたもの(一定以上の電圧が必要なので、通常は直列に接続する)。モジュールの最大公称出力は50W、モジュール変換効率13.3%を実現しているという。また「モジュール」「ラック」「金具」「ケーブル」を一体化することで、モジュールの凹凸をはめ込むだけで接続できる簡易性を実現したとしている。

またセメダイン社と共同開発した接着剤による取付金具の施工方法「接着剤工法」を参考出展。ソーラー・パネルの取付金具を屋根に接着剤で固定することで、屋根に穴を開けずに簡単に施工できるようになる。実証テストなどを経て、当初は企業向けに提供するが、将来的には住宅向けの展開も検討しているという。

■エスパワー(サンチェリー・ソーラーシステム)
ソーラー・パネルの生産拠点の海外移転が進むなか、ウェハからパネルまでを独自に国内一貫製造し、高品質をうたうエスパワーは、「サンチェリー・ソーラー」のブランドで、公称最大出力320Wを誇る大型で大出力のソーラー・パネルなど複数のラインアップを展示していた。新たに、単結晶シリコン型でありながら、完全に四角形のウェハにし(通常単結晶型はウェハの四隅に小さな空きスペースができる)、パネルの変換効率を高めた新型モデル、屋根一体型などをラインアップに追加した。

■カナディアンソーラー
バックコンタクト方式を採用することで、集光率を3%、発電量を6.3%高め、モジュール変換効率16.15%を実現した「ELPS Module」の住宅向けモデルなどを展示。また住宅向けとして、新製品の単結晶シリコン型の「CS5A-200M」(最大公称出力200W)、多結晶シリコン型の「CS6P-240P」(最大公称出力240W)を2012年度に展開することを明らかにした。

■京セラ
多結晶シリコン型では世界最高クラスとなる、セル変換効率17.8%を実現したセルを採用したソーラー・パネル「Gyna」を参考出品。順次、このセルを採用した製品を展開していくという。

また2012年夏に販売開始予定の蓄電池システムを参考出品。容量7.2kWhのリチウムイオン蓄電池を内蔵しており、太陽光発電システムと連動して、停電時などに、特定の分電盤に接続した機器への電力供給が行える。また平常時は、夜間に蓄電した電力を優先的に使用することで、太陽光発電システムの売電量を増やせるとしている(ただし、売電単価はW発電と同じ2011年度の場合34円になるということだ)。

■シャープ
シャープは、バックコンタクト方式を採用したソーラー・パネル「ブラックソーラー」のラインアップにコーナー・モジュールを追加。寄棟屋根に施工する場合、コーナー・モジュールの使用によって、設置容量を55.1%アップできるとしていた。またセル裏面を改良し、高効率化を実現した次世代のブラックソーラーを参考出品。最大公称出力244W、モジュール変換効率19%という高い出力を実現可能であるとしていた。

■パナソニック
パナソニックは、2012年1月末に発表したばかりの「パナソニック 住宅用太陽光発電システム HIT240/233シリーズ」を中心に展示。HIT240/233シリーズの高出力のポイントをパネルなどでわかりやすく解説していた。

また太陽光発電システムと連動する蓄電システムも展示。夜間にリチウムイオン蓄電池に充電した電気を朝や夕方の電気消費量が多い時間帯に利用することで、トータルの電気料金の削減を実現するとしている。太陽光発電の余剰電力を売電している場合は、蓄電池からの放電は行われない。

■三菱電機
三菱電機は、奥行きを狭めた(従来のセル5枚に対して4枚とした)スリムモデルを参考出品した。標準モデルに、このスリムモデルを組み合わせることで、屋根のデッドスペースとなっていた部分に対してもパネルの設置が可能になり、設置容量を最大限に増やせるとしている。

■そのほかのメーカー
また建材商社の高島は、JAソーラー(セル生産実績で世界2位の中国のメーカー)と提携、新築住宅向けに「スマイルソーラー」として独自ブランドでの販売を開始。新築住宅市場では、住宅会社がソーラー・パネル・メーカーを選択する傾向にあり、よりコストパフォーマンスが重視されることから、独自ブランドでの展開を行うことにしたということだ。

制御機器メーカーのIDECは、住宅向けのパワーコンディショナなどを展示、4月より販売を開始するとしていた。本体サイズはA3サイズ以下(420×280×127mm)で、定格電力4kW、変換効率95%を実現している。オプションのモニタリングシステムセットを使い、インターネットに接続することで、パワーコンディショナの稼働状況などの監視ができるクラウドサービスも提供するとしている。

シリコン結晶型が大勢を占めるソーラー・パネル製品の中で、CIS型という化合物型ソーラー・パネルを製造するソーラーフロンティアは、目立った新製品などはなかったものの、来場者の関心は非常に高かった。カタログ上の変換効率ではシリコン結晶型よりも劣るため、当初はなかなか選択肢の1つとして数えられなかったが、「くもりなどにも強く、年間を通じた発電量では負けない」というメッセージが、徐々に浸透してきているといってよいだろう。

PV EXPO 2012レポート

《小林@太陽生活ドットコム》

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