三菱電機は5月23日、パワー半導体素子をすべてSiC(炭化ケイ素)で構成する強制空冷式フルSiCインバーターを開発したと発表した。自動車や産業用途などのパワーエレクトロニクス機器の小型・軽量化に貢献する。
パワー半導体素子の材料としては従来、Siが使われているが、最近はSiCが次世代材料として期待されている。SiCは、Siに比べ約10倍の絶縁破壊強度を持ち、低損失化による省エネルギー効果があるのに加え、発熱量が減ることで冷却器の小型化が可能となり、自動車や産業用途など適用機器を小型・軽量化できる。
開発品は今回、DLB(ダイレクト・リード・ボンディング)による低抵抗配線を適用したことで電流密度を最大限高めることが可能になった。
今回の開発では、フルSiCパワーモジュールに電流センス機能を内蔵したSiC-MOSFETを適用し、高速な短絡保護回路をインバーターに搭載したことで、高電流密度化してもSiCの低損失性を維持した。
開発した強制空冷式のフルSiCインバーターは、50kVA/Lの高パワー密度での動作を実証した。同社では今後、実用化に向け、インバーターの小型化開発を推進する。