【中国 次世代トヨタ】ディーラー連携で最適在庫追求

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広汽トヨタのモデル販売店んひとつである第一店には、TOSSをはじめとするシステム管理が行き届いている
広汽トヨタのモデル販売店んひとつである第一店には、TOSSをはじめとするシステム管理が行き届いている 全 12 枚 拡大写真

オーダー作成支援システム「TOSS」(Total Order Support System)の稼働状況

「SLIM」(Sales Logistics Integrated Management)を中心に滞留車の低減活動を進めていくと同時に、販売店からのオーダー最適化には力がこもっている。

モータリゼーションのただ中にある中国では、必ずしも経験豊富なマネージャーが販売店を率いている訳ではないため、販売実績のないオーダーや、意図のないオーダーを打つという事態が発生していた。

オーダーの適正化を支援する「TOSS」は、過去の販売実績、店頭在庫、物流在庫、受注残などを勘案して推奨オーダーを提示する。

こうしたカイゼンを2009年の6月から実施した結果、「オーダーのバランスが整った」と話すのは広汽トヨタe-CRB推進部森光宏部長(取材時。現マリン&ユニット事業部舟艇販売室室長)。

TOSSによるこれまでのカイゼン

TOSSが実現しているカイゼンの一つは、不良在庫の抑制だ。リアルタイムデータを用いることで在庫の圧縮を実現している。

二つ目は、オーダー確定から生産までのリードタイムを短縮しているという点。通常トヨタの海外の事業体では、生産月の2か月前に総量を確定し、1か月前に車両の色や型式を最終決定する。TOSS導入後は、月2回のオーダー変更に対応した。月初に生産を決め、月後半の生産については月中に隔週でオーダーを受け、変更することが可能になった。

TOSS導入で、オーダー変更の内容が明らかに

オーダー改善と月2回の生産対応を行なった結果として、森光氏はある月の『カムリ』の生産について具体例を話してくれた。

月の2か月前にカムリのオーダーが1万2000台あった。その後、販売店からの変更要望が3700台発生したが、そのうち割り当て変更により対応できたものが3400台にのぼったという。

「変更要望のうち、生産過程で対応する車両は278台に過ぎなかった」(森光氏)。

さらに細かく見ると、色変更がほとんどだったという。つまり、販売現場の情報を密に把握することで、生産過程でオーダー変更に対応する作業を最小限に留めることが可能になったのだ。

カイゼン最前線その1…デイリーでオーダーを受け付ける

TOSSの効用をさらに深めるカイゼンを実施した。2010年6月、販売店からデイリーのオーダーを受け付けるようになった。これまでは隔週月2回の生産変更を実現してきたが、「さらに毎日オーダー変更をしていいですよということ」(森光氏)。

販売店からのデイリーのオーダーには割り当て変更で対応する。割り当てが最適であれば即配車、割り当てできない場合でも、従来から行なっている月2回の隔週オーダー変更にキャリーオーバーする。

これにより販売店にとっては、オーダーしてから配車までのリードタイムをさらに短縮できるというメリットが生まれる。

デイリーオーダーは、「ケースとしては通常のオーダーではなく、例えば金色のカムリをくれ、といったような特殊なオーダーに対して対応するケースが多い」と森光氏。この対応は2010年6月から全車種で実施している。

カイゼン最前線その2…2011年は、生産の週次調整に着手

2011年には生産の週次調整の実現に取り組んだ。隔週で行なっていた生産変更を毎週行なうというこの取り組みによる進化点は、需給のカイゼンだ。

デイリーオーダーと、販売現場や生産中のスワッピングによる配車の週次調整で、オーダーを受けてから配車までの時間は従来から12日短縮した。もとはオーダーを受けてから配車まで26日かかっていたため、これが14日になったという。顧客がオーダーしてから最短2週間で配車される計算だ。

店舗間スワッピングの活性化へ

この取り組みには課題もあるという。変動部品の在庫があるため、何でも出来るというわけではないのだ。

フレキシビリティは確実にあがったと評価する森光氏は、店舗間のスワッピングの活性化が次なるカイゼン対象とし、蘇州に7店舗あるディーラーの店舗間スワッピングに取り組んでいる。

経営が別体のディーラー各社が連携して取り組んでいるという。システムの変更も発生すると見込んでいるが、広汽トヨタ(GTMC)サイドは柔軟に対応する構えだ。

《土屋篤司》

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