【新聞ウォッチ】「急成長と挫折」三菱自動車元社長の中村裕一さん逝去

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歴代 三菱 パジェロ
歴代 三菱 パジェロ 全 2 枚 拡大写真

気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。

2012年6月14日付

●トヨタ目標シェア最高の55.6%に設定、15年、国内販売(読売・11面)

●「サーブ」買収合意、日中の投資家グループ(読売・11面)

●車購入時の税軽減、消費増税なら民主・公明が合意(朝日・5面)

●EV電力、おうちで利用、日産、三菱、装置を発売、電力不足に備えPR(朝日・8面)

●遊び心満載おもちゃショー(朝日・8面)

●就任から19年、豊田氏が退任、日本自動車会議所(朝日・8面)

●パジェロもリコール隠しも、三菱自「中興の祖」中村元社長死去(朝日・8面)

●エコカー耐久戦、トヨタVS.アウディ(産経・11面)

●ガソリン価格10週連続下げ(産経・11面)

●日本の車8社生産最高、今年度2600万台、新興国で拡大(日経・1面)

●スタバ、ドライブスルー倍増(日経・9面)

●車販売店iPad導入広がる日産9割の店舗で活用(日経・9面)

●ベアリングベアレ大手不正隠す?価格調整、隠語で議事録(日経・39面)

ひとくちコメント

三菱自動車の元社長・会長の中村裕一さんが6月4日午前8時55分、多臓器不全のため、東京・世田谷の自宅で亡くなっていたことが、わかった。86歳だった。葬儀・告別式は近親者で済ませ、社葬などの予定はないという。きょうの各紙が報じているが、社会面の訃報欄以外に朝日と産経が評伝を経済面で取り上げている。

中村さんは、京都大学工学部・機械工学科を卒業後、1948年に三菱重工業に入社。GDIなどのエンジン設計に長く携わり、三菱自動車が分離独立後、舘豊夫社長の後任として、89年に同社社長に就任した。「RVの三菱」の原動力ともなった「パジェロ」シリーズを相次いでヒットさせるなど、「(当時2位の)日産のテールランプが見えてきた」などと豪語するほど、同社の拡大成長路線を牽引した。

だが、好事魔多しで、朝日が「パジェロもリコール隠しも」との見出しを付けたように「97年、総会屋への利益供与事件の責任を取り会長を辞任。同社の経営を揺るがしたリコール隠し問題では、会社側から2005年に損害賠償請求訴訟を起こされ、07年に和解した」(日経)。根っからの技術屋の中村さんは人柄が良くごり押しするようなワンマンタイプではなかったが、それでも欠陥を隠ぺいする企業風土が生まれたのは、取り巻きの幹部社員らが、都合の悪い情報をトップに伝えなかったことも一因だろう。

その中村さんは「晩年は公の場に姿をみせることはなかった」(産経)が、第一線を退いてからは瀬田の自宅付近のバス停から趣味の絵の道具を肩にかけて、バスに乗り込む姿をお見かけしたこともあった。親族に近い関係者によると「最後まで会社のことを気にされていた」そうだ。「中興の祖」でもあるが、中村さんのように会社の急成長と挫折を味わった経営者も珍しい。合掌。

《福田俊之》

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