新日本製鐵は、トヨタ自動車がFIA(国際自動車連盟)世界耐久選手権に「TS030 HYBRID」で参戦する車両の駆動モータに新日鉄の高効率電磁鋼板が採用されたと発表した。
駆動モータは、ハイブリッド車の駆動機構の心臓部で、省エネルギーを実現する高いモータ効率と、起動や加速に必要なトルクを確保することが要求され、高速回転への耐久性も求められる。
電磁鋼板は、駆動モータの鉄心素材として電気エネルギーを機械エネルギー(回転力)に効率良く変換する役割を担い、ハイブリッド車の駆動性能、燃費性能を左右する重要な機能素材のひとつ。
駆動モータの高効率化のため、エネルギー変換時に発生するロスを抑えることが必要となる。一方で、トルクを上げるには電磁鋼板の磁力(磁束密度)を上げる必要がある。
鉄損を抑えるにはシリコンの添加や板厚の薄手化が有効だが、通常これらの方法では逆にトルクは低下する。高効率・高トルクの駆動モータを実現するには、相反する性能である低鉄損と高磁束密度を高いレベルで両立することが求められる。
今回同社は、長年の研究開発で蓄積した電磁鋼板の性能を左右する結晶方位や結晶粒径に関する制御技術等を駆使し、低鉄損と高磁束密度を両立させるとともに、モータの高回転に耐えられる高強度化を実現、採用された。