沖電気工業は、田中貴金属工業からプリント配線板事業を買収することで合意した。両社は、田中貴金属が設立する新会社にプリント配線板事業を譲渡した上で、沖電気が新会社の株式の80%相当を10月1日付けで取得する。
沖電気は、中期経営計画の中で、高度な生産技術と品質保証力を活かしたハイエンド型EMS(生産受託)事業を成長分野の1つに掲げている。
沖電気のプリント配線板事業は1965年からはじまり、世界初の80層基板製造を実現するなど、高い技術力を持つ。EMS事業成長のためには、プリント配線板事業の拡大とともに、強みであるプリント配線板から最終製品組立までの一貫生産体制の強化が必要と考えていた。
一方の田中貴金属は、プリント配線板事業を1970年から開始し、大型・高多層基板を航空・宇宙産業向けに提供してきた。しかし、国内のプリント配線板市場の縮小といった業界環境の変化や、企業競争力を高めるための事業構造変革を進め、プリント配線板事業の位置付けを見直していた。
田中貴金属は沖電気から事業譲渡の提案を受けて、沖電気のEMS事業の将来性・成長性を高く評価、プリント配線板事業の確実な継承・雇用の維持ができると判断して今回合意した。
沖電気は、今回の事業譲渡を受けることでハイエンド製品向けプリント配線板事業の国内シェアを拡大するとともに、プリント配線板から最終製品組立までの一貫受託生産も拡大する。EMS事業の売上を2015年度に500億円を計画する。