【新聞ウォッチ】スズキの稼ぎ頭 インド工場で暴動、したたか経営に陰りも

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スズキのマネサール工場
スズキのマネサール工場 全 7 枚 拡大写真

気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。

2012年7月20日付

●インド、スズキ工場で暴動、現地幹部死亡、100人逮捕(読売・2面)

●円高じわり78円台、海外減速「安全資産」に流入(読売・9面)

●オスプレイ事故58件、米軍資料、06年から5年間(朝日・1面)

●日EUのEPA、自工会の会長「交渉に期待」(朝日・9面)

●豊田自工会会長「補助金終了で影響出る」(産経・10面)

●ご当地ナンバー14年度にも拡大、国交省会議で了承(東京・3面)

●プジョー工場に商用車生産委託、トヨタ、仏紙報道(日経・9面)

●自工会会長「車体課税、抜本改正を」(日経・9面)

●ホンダ、マレーシアで増産、東南アジア内で相互供給、ハイブリッド車の輸出も検討(日経・11面)

●ホンダ、「CR-V」リコール(日経・38面)

ひとくちコメント

インドにあるスズキの子会社、マルチスズキで従業員ら3000人以上による大規模な暴動が発生し、インド人の幹部1人が焼死、日本人役員2人を含む約100人が負傷した。19日の一部の夕刊で速報したのに続き、きょうの各紙も暴徒化した原因などを詳しく報じている。

それによると、暴動の発端は、インドの伝統的な階級制度「カースト制」に関する差別的な言動とインド特有の法律にあるとの見方が強い。産経によると、「燃えた自転車や書類、机…。放火で黒ずんだ部屋に散乱する備品が、暴動の激しさをうかがわせた。従業員用駐車場に止められていた何台もの車は窓ガラスを打ち破られていた」と、放火されたケート横の部屋が焼け焦げるなど、生々しい暴動の傷痕の現場を伝えている。

また、紙面では「スズキ、経営に打撃も」(朝日),「生産再開は未定」(読売)、「発言力弱い労働者不満」(毎日)などのタイトルで、マルチスズキの工場では昨年の夏以降、労働争議が断続的に発生。生産停止で250億ルピー(約360億円)の損害が生じたという。マルチはスズキの連結経常利益の3割を占める稼ぎ頭。今回も生産停止が長引けば、したたかな経営で知られるスズキの海外事業にも深刻な影響を与える可能性もあると、報じている。

さらに、日経などは「新興国開拓労働問題の壁」との見出しで「労使問題をどう克服していくのか。スズキだけでなく日本企業共通の課題ともいえそうだ」と指摘する。

もう4~5年前のことだが、中国に進出した日系自動車メーカーの人事担当の日本人役員を取材した際、「滞在中は宿泊のホテルを転々としている」との物騒な話を聞いたことがある。待遇などに不満の従業員に襲われないように身を守るためだという。

超円高の進行で自動車生産の新興国シフトが一段と加速しているが、労使紛争への対応という避けて通れないリスクも突きつけられているようだ。

《福田俊之》

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