【スバル エクシーガ 試乗】濃厚で快適な走りと乗り心地に驚き…青山尚暉

試乗記 国産車
スバル・エクシーガ2.5i EyeSight ワゴン的なスタイリング
スバル・エクシーガ2.5i EyeSight ワゴン的なスタイリング 全 8 枚 拡大写真

2012年7月に改良されたエクシーガの2.5リットルNA、「ぶつからないミニバン」にはちょっと驚かされた。

今回のMCのポイントはまず先進運転支援システムのアイサイトver.2が搭載されたこと。レガシィ用と微妙に違い、プリクラッシュブレーキ制御&追従走行時の停止保持機能、追従走行時のアイドリングストップ協調制御は盛り込まれないが、なんと言っても2.5i EyeSight/AWDの252万円という価格は大バーゲンプライスだ。

また、新世代ボクサーエンジン、新リニアトロニック(CVT)、アイドリングストップを搭載し、足回りにもしっかり手が入っている。つまりビッグMCと呼べる改良、内容なのである。

まず感動したのは乗り心地。重厚かつ滑らかで、特に60km/h程度で流しているときの走りの上質さ、大人っぽさはMC前のモデルとは別格。段差越えなどでの振動、ショックも見事に封じ込まれている。今や国産ミニバン最上レベルの乗り味と言ってしまいたい。

2.5リットル水平対向エンジンは出足から濃厚なトルクを発揮し、その回転上昇感、スムーズさが素晴らしい。CVT効果で巡行時のエンジン回転数がごく低く抑えられ(100km/h=1750回転)クルージングはごく静か。グランドツアラーとしての資質は極めて高い。

飛ばしても新型エクシーガは冴えまくる。車高が115mmも低いオデッセイ同等の重心高ゆえ(水平対向エンジンによる)、レガシィの3列シート版と言うべきハンドリングを示してくれる。コーナリング中の自然で重心の高さを感じさせないロール感、横滑り防止装置のVDC全車標準による安定感の高さも特筆モノだ。今回、約500kmを走破したテストドライブでもドライバーは疲れ知らず。アイドリングストップの作動も違和感なし。不快な音、振動とは無縁だった。

後席の居住性は大型ボックス型ミニバンほどではないにしてもなかなかだ。特徴的なのは1/2/3列目席へいくにしたがって着座位置が極端に高くなる超シアターレイアウト。具体的には1列目に対して2列目は70mmも高く、2列目に対して3列目もまた70mm高い設定だ。多くのミニバンがそれぞれ40~50mm高のシアターレイアウトだから、いかに眺めがいいか、前方見通し性がいいかが分かるだろう。結果、どの席に座っても視界爽快。実際のスペース以上の広さが感じられるのだ。

2列目席キャプテンシート、後席用エアコンの設定がないのはちょっと残念。しかし繰り返すがアイサイト付きの2.5リットル、AWDモデルで252万円というのは、本当にお買い得である。真夏日の東京~那須往復約500kmの実燃費はJC08モード燃費13.2km/リットルに迫る11.9km/リットルだった。

エクシーガはペットを乗せるにも適している。跳躍力のある犬なら3列目席を格納し、開口部からフラットに続く広大な荷室フロアに乗せられるし(開口部地上高660mm/レガシィは597mm)、乗員数、荷物の大小によっては2/3列目席に乗せてもいい(2列目席座面地上高645mm)。たとえ3列目席でも座面が2列目席同等に長く、乗せやすいのだ。

さらにスバル純正の後席用ペットシートマット=パートナーズカバーや、荷室に乗降させる際、リヤバンパーのキズつきを防いでくれるカーゴステップカバーなどもあるからうれしい。

もちろん、乗り心地の良さ、姿勢変化の少なさ、静かな巡行性能もペットフレンドリーだ。個人的には、後席の愛犬が気になって一瞬、前方不注意になったとき、アイサイトに助けられた経験がある。ペットとドライブを楽しむ機会が多い人にもアイサイトは有効だったりする。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
ペットフレンドリー度:★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。

《青山尚暉》

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