【トヨタ プリウスPHV】一粒で三度美味しい…椿山和雄

エコカー EV
トヨタ プリウスPHV
トヨタ プリウスPHV 全 6 枚 拡大写真

EVモードが終わってしまうとこの車の楽しみがなくなってしまうわけではない。『プリウスPHV』はハイブリッドシステムと車の一体感が増している、というのが全体的な印象だ。ここでは『プリウス』(ZVW30型前期モデル)との比較で主にHVモードの変化を伝えていきたい。

HVモードでまず印象的だったのは、プリウスPHVはエンジンが動いていても気持ちがいいということ。走りを楽しみたいといった領域では、プリウスPHVの運転に慣れていると純粋なエンジン車を操作しているように感じる瞬間がある。

プリウスPHVのHVモードにおける加速を表現すると、モーターの加速フィールからエンジン車の加速フィールにガラリと変化するというのものではない。モーターの加速フィールはそのままに、エンジンによるパワーアシストがプラスされたという印象になっている。エンジン車でいうところのスーパーチャージャーやターボのように、PHVのエンジンが働いているといったイメージであろうか。

PHVを運転していて純粋なエンジン車を運転しているような感覚を覚えるのは、例えばワインディングのような場面、アクセルをグッと踏み込んで加速していくような領域での話。アクセルの踏み込みに対してエンジン車のように回転が変化して加速していく。演出されている部分で効率的ではないかもしれないが、人間の感覚として気持ちがいいと感じられるチューニングが施されているようだ。

また、エコ運転による燃費向上を目指すうえでもプリウスHVとは異なる性質を備えている。まず印象的だったのは、アクセルペダルから足を離すとすぐにエネルギーを回生する体制に入る(エンジンブレーキ効果を高めている)こと、さらに速度域によるが加速段階から一定走行や減速の状況に移行するとエンジンはこまめに休止し、エンジンの起動時間を可能な限り抑えている感じだ。

実際にHV車を運転する上での自分の運転スタイルも変化した。エンジンが起動することに躊躇することはなくなったので、早めに目標速度に加速してクルージングの体制に入ってしまう、エンジンの起動時間をなるべく少なくする運転を選びたくなる設定だ。よく、HV車は極端なエコ運転で周りに迷惑をかけるといった批判を目にするが、これまでのHV車は、そういった運転をさせるフィーリングを持っているのは確かだと思う。

一応、プリウスHV(ZVW30型前期モデル)の加速フィールを表現しておくと、スタートから始まったモーターの加速フィールがエンジンの始動とともにかき消され、音、振動、加速Gなど、どの感覚を頼りにアクセル操作をすればいいのか分からなくなるといった感覚である。つまり、プリウスHVでは、エンジンは発電機として動いていて、加速の最中でも別のベクトルで仕事をしている印象が強かったのである。

細かな部分ではブレーキのフィーリングも改善されている。いわゆるカックンブレーキを嫌って車両が停止する直前にブレーキ踏み込みを緩める、といった運転スタイルをする人でもスムースな操作が可能となっている。プリウスHV(ZVW30型前期モデル)では、回生ブレーキと機械式ブレーキのコンビネーションの具合からなのか、そういった操作をするとギクシャクする場面があった。

プリウスPHVのHVモードには、これまでの「燃費の良さ」に加えて「走りの楽しさ」が加わっている。さらに「EVモードの純粋な加速の感覚」が味わえると、一粒で3度美味しいのが、このプリウスPHVの印象。当然、新たに加わったEVモードの混じりけのない加速の感覚は気持ちがいいが、むしろHVモードの楽しさを知ると、その巧みさに感心してしまう。

《椿山和雄》

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