【トヨタ プリウスPHV】ハイブリッドシステムの完成度が上がった…椿山和雄

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トヨタ プリウスPHV
トヨタ プリウスPHV 全 6 枚 拡大写真
『プリウスPHV』に乗ってハイブリッドシステムの完成度に驚いてしまったのだが、マイナーチェンジ後の『プリウス』との違いにも気になったため実際にマイチェン後の『プリウス』を借りて乗ってみた。結論を言ってしまうと、プリウスPHVで感じたハイブリッドシステムの完成度はマイナーチェンジモデルのプリウスでも同じ印象であった。

プリウスをベースしているのがプリウスPHVなので、当然といえばそれまでであるが、HVはニッケル水素バッテリー、PHVはリチウムイオンバッテリーと、バッテリーの特性によるHVモードの違いがあるのかにも注目してみた。観察してみると、運転していて体感できるほどの違いは感じることが出来なかったが、HVモードのJC08モード燃費はPHVが31.6km/リットル、HVが30.4km/リットル(いずれもSグレード)と異なっており、エネルギーモニターの様子を見ていると、回生ブレーキの方法など細かな部分での制御の違いがありそうな印象だ。

乗り心地はどうだろうか。PHVの車両重量は1410kg(Sグレード)、HVが1350kg(Sグレード)と60kgの重量増となっている。PHVでは、やはり加速や減速などの性能面においては重たい車であることを感じさせるが、重量増の効果なのかHVより走行中の細かい振動が抑えられている。ちょっとした突起を乗り越えたときの、主に足回りからフロアに伝わるブルブルと震える振動を取り除いてあげると、ひとクラス上の上質感をもった乗り心地の車に仕上がるに違いない。

HVのプリウスとプリウスPHVでは、HVモードの印象がほぼ一緒となると、EVモードやバッテリーの違い、充電口が付いているかの違いになってくる。

価格面をみると、プリウスでHVとPHVのSグレード同士の価格を比較するとPHVが320万円、HVモデルが232万円、その差は88万円。現在、クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金によりその差額の2分の1は45万円を上限に補助が受けられる。上記の例であると44万円の補助金を得ることができる計算だ。

普段は近距離移動で車を使い、たまに長距離移動をするという生活スタイルを持つ人にとっては、近距離移動用のEVを1台購入すると考えれば、実質44万円の差額で手に入るプリウスPHVは、現実的な選択肢となってくるだろう。ただ、補助金のお金の出処や狙いをよく考えてみる必要はあるし、補助金を頼りにした商品に本質的な商品力があるとは思えないので、価格については課題が残る。

また、PHVがHVと並ぶトヨタのメインストリームの商品となっていくにはまだまだ課題がある。筆者を含め月極の駐車場を借りている人にとっては、自宅での充電というものができない。外出先の充電設備を使ってPHVを活用できる環境が整えば、駐車場の充電設備を持てない人にも希望はある。そのためには、現状の充電時間を考慮すればコインパーキングやショッピングセンターなど長時間車駐車するような場所にPHV用充電設備が必要である。コンビニやガソリンスタンド等の短時間の滞在場所に充電設備を設置するのであれば、充電時間の短縮も課題といえる。

そもそも、トヨタのハイブリッドシステムも初代プリウスの登場から15年かけて育て上げたシステム。PHVに関してもそれぐらいのスパンでモノを見る必要があるだろう。しかし、今回のマイナーチェンジしたプリウスとプリウスPHVをみると、両者はまだまだ伸びしろのある技術であることを感じた。

《椿山和雄》

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