【トヨタ スペイド 試乗】クールで想定外に走る、ゴキゲンなポルテの兄弟車…青山尚暉

試乗記 国産車
スペイド
スペイド 全 17 枚 拡大写真
新型『ポルテ』には、『ノア』&『ヴォクシー』ならヴォクシーに相当するクールな顔つき、独自のボディサイドライン、専用メーターを持つ『スペイド』が兄弟車として加わった。ポル子ちゃんに対してスペイド君である。

その理由は明白。ポルテはママズカーのイメージが強く、男性が乗るにはちょっと抵抗があったからだ。スペイドなら男性が乗っても違和感は少ない(ブラックやダークブラウンのボディカラーがいい)。ユーザーの幅を広げるのが狙いである。

インテリアはポルテ同様、癒やし感ある仕立て、雰囲気。後席は身長172cmの乗員基準で膝回りに360mmものゆとりある、子供が立てるほどの広大な空間だ。運転席側にリヤドアも追加され、使い勝手は格段に向上。3人乗車で後席部分に自転車を積むことだってできるからすごい。

しかし、新型スペイドでもっとも驚かされたのポルテに準じる大開口スライドドアからの乗降性や進化した使い勝手、収納、シートアレンジだけではなかった。

そう、走りもまたゴキゲンなのである。「ウソだろ」と思うかもしれないが、本当だ。

その意味でお薦めなのは街乗りジャストな1.3リットルモデルとオールラウンダーな1.5リットルモデルのドレスアップパッケージ装着車。実は、1.5リットル車の場合、標準車は15インチのスチールホイール+エコタイヤの組み合わせ。ところがドレスアップパッケージを装着するとノーマルタイヤが組み合わされるのだ(1.3リットル車は14インチのノーマル タイヤ)。

15インチのノーマルタイヤを履く1.5リットル、ドレスアップパッケージ装着車の乗り心地はやや硬めになるものの、フラット感があり、サスがよく動く。カーブや山道、高速レーンチェンジを含む、全域のリヤの追従性、安定感(VSC標準)、ステアリングを切るとノーズがスッと素直に向きを変える人車一体感ある操縦感覚。自然なロール感によって、全高1690mmもあるスライドドア車とは思えない走りの気持ち良さ、楽しさが味わえる。その点では同じプラットホームを使う『ヴィッツ』や『カローラ』を圧倒するほどだ。

ゆえに山道をハイペースで走っても緊張感は薄く、鼻歌まじりで駆け抜けることができる。運転がうまくなったような気分にさせてもくれるのだ。

高速走行でもCD値0.29(意外だ!)の空気抵抗の良さから室内はごく静か。ビシリとした直進性を発揮し、癒やし感あるインパネの眺めもあって肉体的精神的疲労は最小限。街中では全方向の視界と小回り性の良さによって走りやすさはもう抜群と言っていい。

先代ポルテを「走りで選ぶ」人なんかいなかったはずだが、新型スペイド(ポルテ)は想定外に走りがいいから、走り好きな男性が買っても満足度は高いと思う。もちろん、ノーマルタイヤが組み合わされるドレスアップパッケージ装着が前提。1.5リットル車に標準のエコタイヤは曲がりのシーンでタイヤの変形が少なくなく、ロール量も増えてしまうのだ。

新型ポルテ同様にペットフレンドリー度も高い。その場合は撥水シート仕様のFグレードがお薦めだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
ペットフレンドリー度:★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。現在、ドッグライフプロデューサーとしての活動も広げている。

《青山尚暉》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. ハイエースの牙城を崩すか、個性的デザインの「EVバン」が日本上陸…キア『PV5』発売は2026年春
  2. スバル『フォレスター』試乗して分かった日本車に対する本音とは…9月の試乗記ベスト5
  3. 日産の新型SUV『テクトン』、写真公開…2026年発売へ
  4. Z32ファン感涙、レトロ感あふれる『フェアレディZ』が話題…9月の新型車記事ベスト5
  5. 【スバル フォレスター 新型試乗】日本車の目覚しい進歩に舌を巻く…中村孝仁
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る