【フォード フォーカス試乗】Cセグメントの標準を押し上げた…金子浩久

試乗記 輸入車
フォード フォーカス
フォード フォーカス 全 5 枚 拡大写真

2013年前半から日本で再び販売されることになるフォード『フォーカス』の新型は、2011年にタイの首都バンコクに新設された工場で造られる。

先代まではドイツとアメリカで造られて世界中に輸出されていたが、新型は世界7カ国で造られることになった。

6ライトのサイドビューが特徴的なエクステリアデザインは、先代たちの面影を残しているが、全長全幅ともに少し大きくなった。

パワートレインは大きく進化。2リッター4気筒ガソリン直噴エンジンは170psの最高出力と202Nmの最大トルクを発生し、2割強力に。

トランスミッションはツインクラッチ式6段。一気に効率化を図った。セーフティでも大いなる刷新が図られ、30km/h以下での走行中に自動ブレーキが掛かるようになった。

また、VSC(車両安定装置)と併せて、コーナリング時の内側前輪にブレーキ制御を行ってアンダーステアを軽減するトルクベクトリングも標準で備わる。ライバルに対する大きなアドバンテージだ。

エンジンがパワフルになったことと併せ、トランスミッションのレスポンスがこれまでとはまったくの別物で、レスポンスは速く、ショックも皆無。マニュアル変速も可能。

初代と2代目のフォーカスの走りの美点は、俊敏性と安定性という相反する要素が高い次元でバランスされているところにあった。コーナーで機敏に向きを変えるのだが、リアタイヤもしっかりと仕事をしていて、コーナーの頂点を過ぎてからの安定性に貢献し、接地を高めていた。電子制御式に改められたパワーステアリングの正確なところも変わらない。

総じて、フォーカスがこれまで持っていたハンドリングを大きく前進させ深化させたのが新型なのだが、別の進化もあった。快適性も高まったのだ。フラットで当たりの柔らかな乗り心地となり、それは運転席はもちろんのこと後席でも顕著だった。

フォーカスは、3代目になってドライビングダイナミクスと快適性などの進化によってCセグメントの標準を一気に押し上げたと言えるだろう。

プラスチック然としていたインテリアの質感も格段に向上している。弱点は、せっかくのSYNC(オーディオや携帯電話、エアコンなどの統合的な操作)システムの音声入力に日本語が未対応な点ぐらいだろうか。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア・居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

金子浩久|モータリングライター
1961年、東京生まれ。主な著書に、『10年10万キロストーリー 1〜4』 『セナと日本人』『地球自動車旅行』『ニッポン・ミニ・ストーリー』『レクサスのジレンマ』『力説自動車』(共著)など。

《金子浩久》

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