【GARMIN nuvi 2582R インタビュー】1万3000kmの走行試験で追求したGARMIN品質

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いいよねっと GARMIN PND 検証担当 向井淳氏
いいよねっと GARMIN PND 検証担当 向井淳氏 全 18 枚 拡大写真

GARMINは、ドライビングレコーダーを標準装備する新型PND『nuvi2582R』を発売した。120万画素の高解像度カメラを採用し、HD 1280×720/30fpsの解像度で記録可能なドライブレコーダー付きPNDとなる。

目玉となるドライブレコーダー機能は、撮影した画像をカメラ側面に設置されたスロットに装填されるmicroSDHCカードに記録。その動画をnuvi側の操作で確認することが出来るだけでなく、専用ソフトウェア「PC Tool」で走行軌跡と対比させてみることができる。上下左右前後の3軸方向にに発生したGを分析する事も可能で、大きな衝撃があった場合に自動で加工不可の映像を録画する機能も備わる。さらにカメラユニット(GDR20)はすでに発売されているPND、『nuvi2565』、2582シリーズ、そして『nuvi2790シリーズ』でも使用可能という拡張性もある。

PNDの本体寸法は137x83x15mm(幅×高×厚)、ディスプレイは5インチタッチスクリーン(480x272ピクセルQVGA)、みちびきGPS補完機能付き高感度GPSチップやワンセグ機能が搭載され、FM-VICS(別途 GV-FM10が必要)へも対応した。価格面が強調されるPND市場のなかで、新たな機能を付け加えて登場したnuvi2582Rは、スマートフォンアプリに侵食されつつあるPNDマーケットにおいて新たなニーズを掘り起こそうとする意欲作だ。

今回、GARMINのPND製品で日本仕様の検証を担当する、GARMINの輸入代理店いいよねっとの向井淳氏に話を聞いた。

◆日本の品質基準が世界標準に

----:ドライブレコーダー付きのモデルは米国のラインナップにはない製品ですが、日本仕様としてローカライズする作業において苦労された点というのはあったのでしょうか?

向井:このドライブレコーダーを搭載したモデルは現時点ではアジアマーケット向けの商品となりまして、中国、台湾、マレーシア、シンガポールなどで販売されているモデルです。先行して発売されている国もありますが、他国でリリースしているソフトウェアは日本での検証結果が反映された製品であることを聞いています。日本の品質に対する要求は高いですし、日本と海外では品質の文化が違うので、日本の品質に見合った試験戦略の検討やその実施で苦労をしました。

----:実質的に向井さんがアジアマーケット向け商品の検証を行なったことになりますが、検証作業というは具体的にどういったものになるのでしょうか?

向井:ほとんど実走試験がメインになります。去年の12月にこの端末を受け取った時点で既に先行して発売している国がありました。日本にしかないワンセグやVICSを併用したケースなどは日本でしか確認ができないので実走試験を重視しています。実走試験を開始してから、幾つかの重篤な問題が見つかりました。これによりドライブレコーダーとPNDの親和性を高めると言う大幅な見直しを行い、以降はひたすら実走試験を繰り返していましたね(笑)。無事にリリースが決まった時点で、気がついたら総走行距離は延べ1万2000〜3000km になっていました。

----:具体的にはどういう点が障壁になりましたか?

向井:途中で録画が止まってしまったり、ブラックアウトをしてしまうなどの不具合があり、それらがなかなか直らなかったことでしょうか。問題を解決させる為にはその症状を再現させるしか方法はないわけで、問題傾向の把握や発生頻度を上げる為に数多くのユニットを同時に接続したり、 実走試験中に試験戦略を変更したりといった工夫が絶えなかったです。

今回、メーカーのプロジェクトマネージャーとは密接に連携することができたので、実走試験中にメーカーの技術者と電話ミーティングを行うなど、フレキシブルな対応がとれ、問題解決以外にも機能のチューニングなど多くの改善に繋がりました。市場への投入が遅れたことが残念でしたが、開発という点では今後に繋げられる満足いく結果を出せたのではないかと自負しています。

◆画質にこだわったカメラ部

----:PND+ドラレコという商品企画に対する印象というのは、どういう風に感じましたか?

向井:当初、私自身、ドラレコモデルが出るとは全く考えていなかったので驚いたというのが本音です。市場に出ているドライブレコーダーを見ても様々なものがリリースされていますが、ドライブレコーダーそのものの意義や本質を考えた場合、GARMINブランドのドライブレコーダーとして考えるとGPSとGセンサーに対応するのは最低限必要であると考えていました。今回付属するドライブレコーダー(「GDR20」)はそれらの要素を満たしており、カメラの性能に関しても最適なものを選択していると思いますし、画質がすごく綺麗でこの商品ならいけるのではないかと感じました。実はnuvi2582Rが出る以前にもアジア圏ではドラレコモデルが出ており、そのモデルの評価選定を担当しましたが画質や高感度の描写がいまいちで納得がいくものではありませんでした。

結果的に採用には至らなかったのですが、長く時間をかけて評価選定に携わった経験も糧となっているので最適な商品の選定ができたと考えています。カメラの固定についても、マウントにしっかり固定できるのでブレが気になりませんし、カメラの角度調整もできます。別売で延長ケーブルの商品設定もありますので、フロントミラーの背面への装着も可能ですので、使用いただけるシチュエーションの選択肢がありますので良いと思います。

----:確かに、カメラユニットはかなり高感度・かつ高解像度でした。

向井:私も、やっぱり高画質が好きなんで1280×720のハイビジョン画質で見ると“お〜”と感動します(笑)。フルハイビジョンのディスプレイで見ても粗さがまったく気になりません。ただ、AVI形式のためデータが若干重いのは難点ですが、32GBのSDHCならハイビジョンで撮っても5時間はいけます。普段は標準画質で使っていただいて構わないのですが、HD画質もぜひ一度楽しんでいただきたいと思います。

----:常時録画の映像はWindows Movie Makerなどを使って編集して早回し動画を作った楽しむことができますし、Windowsソフトウェア(PC Tool)も機能が充実していますね。

向井:GDRPCTOOLはWindows PCのみしか使用できないのですが、GDR20で録画をしてから、GDRPCTOOLで映像を確認中にカメラアイコンを押していただくとスクリーンショットを撮ることができます。スクリーンショット自体はジオタグ付きの画像として生成されますので、活用の仕方によっては多くの楽しみがあると考えています。

nuviとPCを接続して頂き、Picturesというフォルダへジオタグ画像を入れてください。こちらに入れていただくと、nuviのピクチャービューアーで見ることができ、画像を選択し、「ピン」のアイコンにタッチして頂くとその画像の地点が表示されます。例えば運転中に気になるお店があった場合、すぐ登録はできないと思います。そのような際に映像が撮れていれば、あとから登録することができます。行ってみたい場所は増えますし、出かける楽しみは増えるのではないでしょうか。
 
----:製品は世に出たばかりですが、市場での反響や、今後の展開についての意気込みを聞かせてください。

向井:今回の製品ではPNDに関しては従来モデルのnuvi2582を使用して基本性能は抑えたつもりですが、GARMINならではの楽しみを提供するには、もう一歩踏み込む必要があると考えています。先に挙げたジオタグ画像の使用など楽しみ方については、イメージが沸きづらいとも思っており、手順や方法も含め共有しやすくしたいと考えています。また、今後スポーツファンの間で大いに盛り上がっているGarmin Connectのようなサービスやソーシャルメディアとの連携なども是非実現させたいですね。

2582RやGDR20は出始めではありますが、興味を持っていただいている方は多いようで多くのお問い合わせをいただいています。ドライブレコーダーのGDR20はアクセサリーでも発売しており、既に発売されているnuvi25XXシリーズ(2565/2582/2582V/2580/2790/2790V)でもお使いいただけます。思い出の保存という点でもメリットはありますし、自衛や運転の振り返りという点でも気軽にお使いいただける製品であることを自負していますので、ぜひ多くの方へ使用していただきたいですね。

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