【WEC 第7戦 富士】明暗のトヨタとアウディ、その分かれ道…レースを振り返る

モータースポーツ/エンタメ モータースポーツ
表彰式
表彰式 全 12 枚 拡大写真

世界耐久選手権第7戦は、トヨタ『TS030ハイブリッド』が地元・日本、それも富士スピードウェイでポール・トゥ・ウィンを飾った。

レースにタラレバは禁物だが、もし、アウディ『R18 e-tronクワトロ』1号車の周回遅れへの「激突」とそれに伴うペナルティがなかったら…? 恐らくアウディが勝利していただろう。あのトレルイエの一瞬の判断ミスが明暗を分けた。

しかし、レースというのはそういうものだ。

膨大な費用をかけ、最先端のテクノロジーを注いだマシンを最後は生身の人間に託す。それこそが自動車レースの醍醐味というものだろう。

トヨタ・レーシングはドライバーにもクルーにも「地元戦」という高いモチベーションがあった。それこそが一番の勝因だったかも知れない。トヨタ側も小さなミスはあったが、戦況を大きく左右するほどのミスを犯したのは王者アウディの方だった。

毎スティント、タイヤ交換を必要としながらも燃費の良いアウディに対し、トヨタは2スティント毎にタイヤを換える戦法で対抗した。最終的にアウディよりも1回ピット・ストップが多くなるのは覚悟の上だった。ラップタイムではTS030がアウディを上回っており、そこに勝機を見いだしていたからだ。

しかしレース中盤、トヨタはピット作業の遅れや周回遅れにつかまるなどしてアウディとの差を思うように広げることができず、苦戦を強いられる。しかし苦しい状況はアウディも同じだった。トヨタに遅れまいとする焦りが、バックマーカーへの無理な追い越しと、アクシデントにつながった。

アウディ1号車はカウル交換を強いられたものの、ラップタイムに大きな影響を及ぼすほどのダメージではなく、すぐにレースに復帰。しかしそれよりも大きかったのはピットでのストップ&ゴーのペナルティだ。ここでトヨタの先行を許し、アウディの目算は外れることになる。

しかし、それでもアウディは勝利をあきらめない。最後のスティントにこのレースで唯一、タイヤ交換なしでピットを出て優勝への執念を見せる。残り20分を切り、トヨタが給油のみのスプラッシュ&ゴーでコースに戻った時、アウディはわずか5秒の背後にまで迫っていた。

アクシデントが導いたとはいえ、まったく違う戦法を取る2チームが最後に交錯するのだからレースは面白い。だが、そこからの中嶋一貴の鬼気迫る走りは素晴らしかった。最後までプッシュし続け、リードを広げての優勝だった。

初めてのスポーツカー・レースとなった佐藤琢磨は、残念ながら23周遅れの総合17位に終わった。

LMP2クラスに出場したふたりの日本人ドライバーは健闘した。井原慶子は中嶋から19周遅れながら総合13位、クラス6位でフィニッシュ。中野信治に至っては220周を走りきり総合8位を獲得、みごとクラス優勝に輝いた。

GTEプロ・クラスはチーム・フェルバーマイヤー・プロトンのポルシェ911RSR(997)が、GTEアマ・クラスはラルブル・コンペティションのコルベット C6-ZR1がそれぞれクラス優勝した。

《重信直希》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. ホンダ N-BOX など7車種1万2653台リコール…過去の改善措置が不適切
  2. トヨタ RAV4 新型の価格は390万~630万円と予想…電動グレード体系に再編
  3. トヨタ RAV4 新型の競合は? 価格帯別にライバルを予想する
  4. メルセデスベンツの万能車『ウニモグ』がキャンピングカーに! 数日間の自給自足が可能
  5. メルセデスベンツ『ウニモグ』、低床仕様登場…荷台高1200mm以下で作業効率向上
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  3. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  4. トヨタや京大、全固体フッ化物イオン電池開発…従来比2倍超の容量達成
  5. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
ランキングをもっと見る