【RISCON12】津波・核シェルター、災害対策ロボットも展示

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SUZUOKA UMO Co.,Ltdのテント式災害用レスキュー装置
SUZUOKA UMO Co.,Ltdのテント式災害用レスキュー装置 全 16 枚 拡大写真

■機動力に優れたバイクやクルマを活用した災害ソリューション

 東京ビッグサイトにて開催された「危機管理産業展2012」(RISCON TOKYO)と、併催の「テロ対策特殊装備展'12」(SEECAT)では、普段お目にかかれない危機管理に関するさまざな製品やソリューションが展示されていた。ここでは目についたユニークなものをピックアップして紹介しよう。

 ヤマハは、防災時に広報活動に利用できるバイクを展示。原付免許で運転できる防災用の広報仕様車で、リアボックスにSDレコーダーアンプを搭載し、後部の10Wのスピーカーから危険を知らせることができる。また回転灯やマイクロフォンも付いている。同様の緊急仕様車としてスピーカーや消火器などを装備できる自動二輪タイプもあった。

 特にユニークだったのが、衛星自動捕捉アンテナを搭載したバイクだ。これはテレマン・コミュニケーションズのブースで紹介されていたもので、災害時の緊急通信手段として、地上回線が断線したり、無線インターネットがない場所において、衛星回線を使えるようにする。東日本大震災では瓦礫が道路に積みあがったり、亀裂が入って自動車が通れないようなこともあった。そういうときにバイクならば迅速に現地に行けるというメリットがある。衛星アンテナはKu帯向けで、60cm径の小型タイプ。電源を投入して数分以内で衛星を自動追尾する。

 同ブースでは、カトーモーターの衛星通信アンテナ付き宿泊型震災対応トレーラーハウスも展示していた。従来の自走式衛星中継車は、災害時に長時間の留め置きが必要となり、せっかくのクルマとしての機能が活かせなかった。このトレーラーならば、牽引したクルマを引き離して利用できる。ベース車両がないため、低コストな点が最大の特徴だ。また2000ccクラスの自動車で牽引できるため、特殊な免許も不要だ。

 車両で圧巻だったのが、ワイ・エンジニアリングのブースにて展示されていたメルセデスベンツの「ウニモグ U4000」。豊富なアタッチメントが用意されており、必要な作業機をチョイスして搭載できる多目的作業用の130kWディーゼル車だ。フィールドを選ばずに豪快な機動力を発揮する。運転性はダンパ機構で安定しており、工具を使わずに反対の座席側にハンドルをスライドできる「バリオパイロット」と呼ばれる独特機構をもつ。標準で前進8段/後進6段(最大で前進/後進各24段)のトランスミッションを内蔵し、超低速(6.6km/h)から高速(85.7km/h)まで作業に応じた走行が可能。最大2基の油圧ポンプや、高出力油圧供給システムも搭載している。

■津波シェルターから地下核シェルターまで

 東日本大震災では、東北の沿岸地域で大津波が襲来し、多くの貴重な命が奪われた。こうした津波から人命を守る津波シェルターが複数の企業から出展されていた。FRPウチヤマは、激流に飲み込まれて外側の本体が回っても、人が入る避難空間は回らない免転構造の「太陽2号S」を展示。本体の素材は繊維をプラスチックと複合して強度を向上させたFRPを利用しており、加圧試験では20トンの重さに耐えられる構造だ。そのため津波のほか、地震による家屋倒壊や土砂崩れなどの際の避難場所にもなる。定員は4人で、許容重量は約110kg。

 ボンドも同様の津波シェルター「LIFE ARMOUR」を出展。東日本大震災の猛威を目の当たりにして、人間の無力さを知り、いつ起きるか分からない災害で何か手伝いをしたいという想いで開発に着手したという。こちらもFRP製で、重量約80kgという軽さを実現しながら、究極の剛性を実現。プレスによる600トンの圧縮テスト、地上25mの水面落下テスト、大人4名(約300kg)の浮力テストをクリアーしている。

 SUZUOKA UMO Co.,Ltdでは、球型ではなく、テント式の災害用レスキュー装置を展示。普段はハードケースに収まっており、紐を引くと圧縮空気が入ったボンベの弁が開いて5秒でテントになる仕組み。サイズは4名から24名までに対応するものをオーダーメイドでつくれるという。穴が開いたときの止水栓や、テントの周りに付いた結露を集めて水を確保する機構もある。テントの上部にはLED警報灯があり、漂流時に夜間でも発見してもらえるようになっている。

 シェルターといえば、併催のSEECATではユニット式地下核シェルターも紹介されていた。日本シェルターシステムが提供する「GEOSYS」は、一般的な鉄筋コンクリート造シェルターに加え、新たな性能を盛り込んだ独自の「ジオシス構法」(構造と工法の総称)を採用し、軍用にも転用できる本格的なものだ。シェルターの内殻ユニットによって、外殻のコンクリートと内部RC耐力間仕切り壁が分離されており、防湿・防水・電磁シールドなどを高レベルで確保しながら、自由なレイアウトで内部を構成できる点が大きな特徴。入口部を2重扉にしてエアロックをかけられる。もちろん地下にシェルターを構築するため、民間個人用ならば洪水・津波対策としても利用できる。

 地震対策用品として緊急用貯蔵水装置を展示していたのはフューチャーアンドスペースのブースだ。この「水蔵」という装置は、水道管に直結することで満水にし、地震・津波などの災害時に水道供給が停止したときに飲料水を確保できるもの。日常生活の水道水を使用するため、常に新しい水が循環し、水を入れ替えないで済む。また水蔵は地中に埋没させるため、災害時に転倒したり破損する恐れもない。タンク容量85リットルから500リットルまでの各種タイプがあり、何段もつなげて利用すれば、数百人の飲料水を確保できるという。

津波・核シェルター、災害対策ロボットも展示……「危機管理産業展2012」(前編)

《井上猛雄@RBB TODAY》

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