【VW エコドライブ世界選手権 12】僅差の燃費バトル、決め手は「経験」か

エコカー 燃費
Think Blue. World Championship 2012を制したのはドイツ。高速エコドライブの経験が差につながった
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フォルクスワーゲンは11月26日、27日の2日間にわたり、エコドライブ世界選手権「Think Blue. World Championship 2012」を開催。17か国、18チームによる激しい燃費競争が繰り広げられる中、ドイツチームが優勝した。本レポートでは2日目のレースを中心に日本代表、澤野浩康さんの走りを振り返る。

■一定速度をキープする走りを心掛ける

今回、Think Blue. World Championship 2012の舞台は米国カリフォルニア。1日目のプログラムでは、サンフランシスコからベルモント、モントレーのチェックポイントを経由し、サンルイスオビスポまでの約380kmを走った。渋滞、高速道路、峠道とバラエティ豊かなコースを『ジェッタハイブリッド』が駆け抜けた。この日、澤野さんはモントレーまでの第2ステージで、自身最高となる48.2mpg(約20.5km/リットル)を記録。2日目につないだ。

2日目のコースは、サンルイスオビスポからロサンゼルスまでの約300km。1日目とはうって変わり、起伏の少ないハイスピードセクションでの走行となった。高速走行においては、技術による燃費の差が出にくい傾向にある。いかに一定の速度を維持できるかが課題となった。

日本代表の澤野さんは、前日までの経験からこの日はクルーズコントロールによる走行をメインとする作戦に出た。「ジェッタハイブリッドのクルーズコントロールは優秀。低回転で走行環境に最適なトルクを選んでくれる。人の足以上にエコドライブが上手い」として、クルーズコントロールで一定速度を保ち、極力減速を行わない運転を心掛けたという。

ジェッタハイブリッドは、アクセルを離すことでエンジンとクラッチが自動で切り離され、エンジンが停止した状態で「コースティング」と呼ばれる滑走状態を生み出すことができる。バッテリーへの回生とコースティング、場面によってどちらを選択するかが、重要となる。

しかし、ハイブリッド車によるエコドライブは初めてという澤野さん、バッテリー走行の制御には苦戦を強いられたようだ。「上り坂、あと少しで上りきるというところでエンジンが掛かってしまうシーンが何度かあった。アクセルを緩めて、少しでもモーター走行を伸ばすべきか悩んだ。バッテリー残量を取るか、速度維持を取るか、最後まで判断がつかなかった」と話す。

■優勝はドイツ、高速走行の経験が活きた

午後2時、計測区間の最終地点であるロサンゼルス・マリブの海水浴場に到着。300kmを走破した燃費は47.2mpg(約20.1km/リットル)だった。ここでもジェッタハイブリッドの公称燃費19.1km/リットルを上回る好成績。ただ、高速セクションでは燃費に差が出にくいことから、判定は最終結果を待つのみとなった。最終的な判定は、2日間の燃費の平均によって出される。

マリブから表彰会場であるサンタモニカまでは、全車数珠つなぎでのパレードラン。世界選手権仕様にペイントされたジェッタハイブリッドの行列に、道行く人々は注目した。

表彰式では大会委員長から、フォルクスワーゲンの環境に対する考え方である「Think Blue.」について改めて紹介した上で、参加者全員の健闘を讃えた。エコドライブの結果は、上位3位までが発表された。

1位:ドイツ 49.9mpg(21.2km/リットル)
2位:オーストラリア 48.7mpg(20.7km/リットル)
3位:フランス 48.6mpg(20.6km/リットル)

日本は46.4mpg(19.7km/リットル)で、12位だった。僅差の勝負だった。澤野さんは「1日目の峠道はもっと頑張れたかもしれない。あそこでの試行錯誤が結果に響きました」と肩を落としながらも、「もう二度と走ることはないと思っていた思い出の道をまた走ることができて良かった。楽しんで走ることができた」と満面の笑みをうかべた。

一方、今回優勝したドイツ代表のZauftさんは今回の走りについて、「いつも通りの走り方をしただけ。60マイル/hの速度でキープして走ることを一番に心掛けた」と話す。ドイツは高速道だけでなく、市街地でも郊外では100km/h制限のエリアも多く、速度域の高い走りに慣れている。今回の燃費の差は、技術的な要素よりも経験が大きな要素となったのかもしれない。

フォルクスワーゲンは今後も世界で「Think Blue.」を呼びかけて行くと同時に、エコドライブ選手権も実施していく。日本においても、ディーラーネットワークなどを通じエコドライブ啓蒙活動を続けて行く。

今回の「Think Blue. World Championship 2012」の様子は、フォルクスワーゲングループ・ジャパン公式サイト、または公式フェイスブックで現地からの写真やレポートを見る事ができる。

《宮崎壮人》

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