シトロエンのDSシリーズは、スタンダード指向のCシリーズと異なり、革新的なモデルをラインアップしている。
そのDSシリーズのもっともコンパクトなモデルが『DS3』。ワールドワイドではすでに15万台以上が販売されたヒット作で、スポーティな走りと大胆なスタイリングが魅力だ。
DS3はさまざまなバリエーションを増殖させているが、ひとつの方向性となっているのが「高級志向」だ。その高級志向を具体化したモデルが「ウルトラプレステージ」。試乗車は156馬力のターボエンジンに6MTを組み合わせた、スポーツシックウルトラプレステージだ。
走りは基本的にDS3のスポーツシックと同じで、低速からしっかりとしたトルクを発生するエンジンと確実な操作性を持つMTの組み合わせにより、キビキビとした加減速が楽しめる。足まわりはゆったりしちつも、高いグリップを示す。
スポーツタイプのシートは、身体をしっかりとホールドしてくれ、コーナリング中も安心。オーディオは8スピーカーに変更され、高音質を満喫できる。インパネまわりはカーボン調となり、いかにもスポーティな雰囲気だ。
ルーフステッカーが貼り込まれたエクステリアは、強力な個性を放っている。高速道路を走行中、観光バスを抜くたびに熱い視線を浴びた。すぐに視線から遠ざかれる高速道路はまだいいが、渋滞路や市街地ではそれなりの覚悟が必要。
エクステリアの遊び心とインテリアのスポーティさがミスマッチなのだが、これを何とも感じさせないのは、ベース車の性能がいいからだろう。中身がしっかりとしていれば、冗談は受け入れられるものだ。
5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍中。趣味は料理。