【COTY 選考コメント】今年も大いに選考員泣かせの年だった…津々見友彦

自動車 ビジネス 国内マーケット
マツダCX-5
マツダCX-5 全 6 枚 拡大写真

毎年そうであるように、今年も大いに選考員泣かせの年だった。

特に、今年選ばれた10ベストカ―のいずれのクルマがイヤーカーを取っても誰もが納得するほどの出来だった。スズキ『ワゴンR』/『ワゴンRスティングレー』や、ホンダ『N BOX』/『N BOX+』の軽自動車の出来も秀逸。これでもうクルマは十分と云う感じ。アルファロメオ『ジュリエッタ』やシトロエン『DS5』のデザインの美しさ。それだけでなく走りも快適。SUVながら粋にスポーティにデザインしたレンジローバー『イヴォーク』もお洒落。

フォルクスワーゲン『up!』のエマージェンシーブレーキを標準装備しながら、高めの軽自動車とそん色ない低価格と出来の良さ。世界のセダンがベンチマークにするほどのしなやかなハンドリングと乗り心地、スムーズなエンジンのBMW『3シリーズ』(セダン/ツーリング)。燃費、ハンドリング、スタイリングとバランスの良い日産『ノート』。その中で、特に私を悩ましたのが、マツダ『CX-5』とトヨタ『86』/スバル『BRZ』だった。

86/BRZは久々に出たスポーツカーだ。しかもスバルのフラット4エンジンの良さを生かしきった設計。ハンドリングも良く、価格帯も身の丈。また200psのパワーは程よくこれも身の丈サイズ。パワーを出し切って振り回せるパフォーマンスも身の丈なのだ。

そのライバルはCX-5。スタイリングがよく、マツダの新しい「SKYACTIV」技術を反映したシャシーのハンドリングの良さが光る。またエンジンの低燃費が凄い。特にディーゼルが良い。フツーにドライブして実燃費20km/リットルを軽くマークし、静粛性と動力性能も高い。どちらにも甲乙つけ難い。

実は私はすべての10ベストカーを数値化して評価した。基本はコストパフォーマンスの高さだ。エンジン出力を価格で割り、取り敢えず“パワーコストレシオ”を出した。CX-5は高いが低燃費のディーゼルの価格とした。その結果、この単純な1馬力(PS)あたりのコストでは、やはり軽自動車は不利で、どうしても2万円を超える。ちなみに86/BRZは1.2万円。CX-5が1.47万円。ハイブリッドの3シリーズが、2.28万円。イヴォークは1.87万円だ。

ただ、これだけでは、不公平だ。クルマの装備。ラグジュアリー度、デザインの良さ。それに肝心な燃費、4WDやハイブリッド、パワートレインなど駆動方式、ハンドリングの良さなどそれぞれの修正係数が必要。それらの係数を私の計算式に入れる。と…、面白いことに、450万円のイヴォークはその結果、1.23万円。699万円もしたハイブリッドの3シリーズは1.13万円とぐっと安くなる。この計算式ではノートは1.46万円と高めになってしまった。

で、CX-5と86/BRZだが、殆ど同列の1万円台と数値上では並んだ…。優劣付け難いのだ。

そうしたなか私が敢えて10点を投じたのはCX-5。 “見て良し、乗って良し、燃費の良さ”から時代の低燃費特性を優先した。一方の86/BRZはこの時代、スポーツカーを投じて、クルマの楽しさを再認識させてくれ、老若男女に夢を与えてくれた点を大いに買い9点とした。そして、コストパフォーマンスが次いで高かった1.1万円の3シリーズに3点、1.2万円のイヴォークに2点。

実は気の毒なのが、ジュリエッタだ。1.3万円とこれもコストパフォーマンスは高かった。が、1.6万円ながら、軽自動車の価格で安全性の高いup!に1点を配した。こうして悩みに悩んだ2012-2013の私のCOTYが終わった。

津々見友彦|モータージャーナリスト
第1回日本GPに出場し、その後日産、トヨタ、いすゞのワークスドライバーとして活躍。現在は自動車雑誌、ラジオ、Car Worldなどに試乗記を書く。サーキット走りとパソコン大好き。今は自転車に凝る。

《津々見友彦》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 【スズキ ソリオ 新型試乗】乗り心地と静粛性はクラストップ、だが「損をしている」と思うのは…中村孝仁
  2. 世界最高級ピックアップトラック誕生!? トヨタ『センチュリーピックアップ』の可能性
  3. ついにハイブリッド化! 新型トヨタ『ランドクルーザー300』の発表にSNSでは「バク売れの予感」など話題に
  4. 日産 リーフ 新型を発表、第3世代は航続600km超のクロスオーバーEV
  5. 伝説のACコブラが復活、「GTロードスター」量産開始
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  2. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  5. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
ランキングをもっと見る