カロッツェリア『楽ナビ』が代々引き継いできた基本コンセプト、それは「高性能を誰でも簡単に扱える」ことにある。この秋に登場した新型は、そのコンセプトを踏襲しながら2DINのインダッシュ型とポータブル型の2タイプにラインナップを変更。操作系も一新してフルモデルチェンジを果たした。
直感的な操作をサポートする「エアージェスチャー」
一新した操作系でまず注目すべきは「エアージェスチャー」と呼ばれる新たなインターフェイスの採用だ。モニター下部にあるセンサーを使い、モニター前で手を左右に振るとこのシステムがそれを検知してあらかじめ設定した機能(選択できるのは全11種類から1つ)を動作させる。
センサーは左右に赤外線の発射口があり、中央の受光部で手の“かざし”を検知するしくみになっており、手を振る方向まで検知できる。動作させられる機能は1つの機能に限られるが、地図とAVモードを切り替えたり、地図のスケールを切り替えたりと、運転中でもあってもいわば“ワンシェイク”で簡単に操作できるもので、その使い勝手は極めて良い。この秋に発表された楽ナビシリーズでは、インダッシュ型で2モデル、ポータブル型で4モデルがエアージェスチャーを採用している。パイオニアが本気でこのインターフェースを普及させようとしている姿勢の表れだと言ってもいいだろう。
また、手を楽ナビに近づけると、画面下には「お出かけランチャー」を、右側には「チェックウインドウ」を表示する。「お出かけランチャー」はあらかじめ設定した6項目+カスタムキーを表示するもので、いちいちメニューを開かなくても各種設定が行えるショートカット的役割を持つ機能だ。非操作時はこのメニューが隠れているため、地図画面をより広く表示できるメリットもある。「チェックウインドウ」は、ウインドウそのものがボタンとなっており、ナビ面表示時ならAV機能の情報を、AV画面表示時ではナビ情報をサブウィンドウとして表示するというもの(インダッシュ型のみ)。ワンタッチでこの画面の入れ替えも行える。モニターは標準的な7型ワイドVGAで、普段は地図画面を広く見せることができ、必要な時になれば最小限のアクションで欲しい情報が得られるという、これまで楽ナビが目指してきた方向性に則った進化として高く評価したい。
軽快感にあふれる使い心地
この一連の操作をして感じるのは、その快適でサクサクとしたレスポンスの良さだ。データ読み出しがメモリーであることもプラスになっていると思われるが、とくにポータブル機の方の動きはストレスを全く感じさせないレスポンスの速さだ。50音入力をしても、まるで最新のスマホ、あるいはそれ以上にも感じるスムーズさで、画面の切り替えも操作した動きにリニアに反応する。この優れた動作はこれまでのパイオニア製品で間違いなくナンバーワンの位置にいると言っていい。
最上位のインダッシュ型「AVIC-MRZ009」なら、ナビ本体にBluetoothモジュールを内蔵。Bluetooth対応の携帯電話やスマホを使うことで、「ハンズフリー通話」が行える。相手の音声はスピーカーから出力されるので極めてクリアに聞き取れる。運転中であってもワンタッチで電話が取れるのもメリットだ。 また、別売のステアリングリモコンアダプターを組み合わせれば、ステアリングにあるリモコンからでも「ソースのオン/オフ」「ソース切換え」「ボリュームのアップ/ダウン」「トラックのアップ/ダウン」などの操作が行えるようになる。国産車だけの対応だが、ぜひ組み合わせることをお勧めする。