トヨタ自動車の豊田章男社長は12月6日、米国セールスフォース・ドットコムが主催する「クラウドフォースジャパン2012 」の特別セッション(セールスフォース・ドットコムCEOのマーク・ベニオフ氏、元米国務長官コリン・パウエル氏との鼎談)において、リーダー論とともに自らの体験を述べた。
2010年にリコール問題で米公聴会に出席したことについて豊田社長は、「少なくとも自分自身は社長ではいられなくなると覚悟した」としながらも、「初めて会社のために役に立てる。光栄に思った」と、当時の心境を語った。
豊田社長は「公聴会に呼ばれた時、私はまだ社長になりたてで、会社も赤字で大変な状態だった。少なくとも自分自身は社長ではいられなくなるなというのは覚悟はした。(社長就任後)1年ももたなかったというのは、正直ちょっと残念だったなという気持ちでアメリカに行った」と振り返った。
その一方で「戦国時代に自軍を安全な場所に逃がすまで最後まで先頭に立って戦う人を殿(しんがり)役と言った。私自身、トヨタの中で創業家というレッテルがずっとついてしまうが、そういう中でも初めて会社のために役に立てる。殿役に任命されたことは大変自分自身、光栄に思った。これでトヨタの社長では無くなっても、会社というものが残ればそれで良いじゃないかという気持ちで行った」とも語った。
さらに「その時に自分自身に決めたルールは、誰のせいにもしないということと、対応が遅いとか、のろまという責めは甘んじて受けよう。だけど嘘つきとか、ごまかしてるということに対しては徹底的に戦おうということを会社の中に示せたと思うし、全世界のお客様にも示せたと思っている」と述べた。