ルイス・ハミルトンは、今年メルセデスAMGチーム内で、リーダーとしてのスキルを自然に体得するというのがデイモン・ヒルの予想だ。カート時代からマクラーレンに育てられたハミルトンは、F1キャリアでもマクラーレンしか経験したことがない。
ヒルもまたテストドライバーとしてスタートしたウィリアムズで1996年にチャンピオンとなり、翌年には戦力強化を目指すアロウズにリードドライバーとして迎えられた経験を持つ。1997年の自身の置かれた状況と現在のハミルトンを重ね合わせるのは当然だろう。
「ウィリアムズにいた頃の僕はチームをリードしたことはないよ。事実上はテストドライバーの延長だったと言えるだろう。他のチームに移って初めてチームリーダーとなったわけだが、チームの側がすでに方針を決めていたところへ迎えられたので環境に馴染むのは難しくなかった」
「ルイスが僕の経験を参考にしてもらえれば幸いだ。断言はできないが、新しい状況に置かれれば気づくかも知れないね。フェルナンド・アロンソが好例だよ。彼は頭の中にデザインオフィスを備えるタイプのドライバーではない。チームのモティベーションを引き出し、配下のメンバーの能力をフルに発揮させることができるの能力がアロンソの取り柄だ」
自身が現役だった1990年代に比べて、現代のチームは1人のドライバーに依存する傾向が強まったというのがヒルの観察だ。
「昔のF1はどのシーズンもドライバーが腕を試したいと思うチームは一つしかなかったから、大抵はベストドライバー2人が同じチームで競うことになった。現代では有力チームが複数存在するので、トップドライバー4人が別々のチームに分かれて戦えるという状況が普通になっている」
「2013年も同じような状況が見て取れるよね。ジェンソン・バトンはマクラーレン、ルイス・ハミルトンはメルセデスAMG、フェルナンド・アロンソはフェラーリ、セバスチャン・ベッテルはレッドブル、そしてキミ・ライコネンがロータスだ。誰が勝ってもおかしくない状況だよ」