内航海運事業者の取引実態アンケート、取引先とのトラブルで泣き寝入り371件

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国土交通省海事局は、中小零細事業者が大半を占める内航海運事業者の取引実態について、日本内航海運組合総連合会と共同でアンケート調査を実施し、結果を公表した。

アンケート調査は2008年度、2009年度いも実施した。前回の調査から一定期間が経過したことから改めて調査した。

調査は今年7月から開始し、9月に回収した。アンケートは2571事業者に実施、回答したのは820事業者で回収率は31.9%だった。

定期用船契約は、半数強が「何らかの変更」と回答、「用船料引き下げ」が39.3%と最も多かったものの、前回調査の46.3%と比べやや減少した。

運航委託契約は、輸送量や代金の最低保証について「ある」は33.3%と前回調査の23.3%から増加した。ただ「ない」が60.0%と最も多かった。

銀行振込料を事前取り決めなく代金からの減額するケースでは、各契約のうち、現金と手形の場合と、手形のみの場合、受領期間が60日を超える件数は21件で、前回調査の55件と比べて大幅に改善した。

陸上側作業実施の対価支払いに関して貨物船は、ダンネージ片付け対価の支払いに対し「不十分」と「不払い」が全124件で前回の116件より増加、特に船倉内のクリーニング対価支払いは、150件で前回の137件から増加した。

タンカーについては、封印作業対価の支払いに対し「不十分」と「不払い」が合計130件で前回の110件から増加、特にホース・ジョイント作業対価支払いに対しは、152件と前回の130件から、貨物船と同様に増加した。

取引先とトラブルが生じた場合、裁判所や公正取引委員会、国土交通省、など第三者へ相談を行うことについて「できない」が371件だった。運送契約を除く、各契約で「堂々と相談や申告ができる」の回答は少数で、「必ず取引を失うのでできない」、「不利となるリスクがありできない」との回答が全体の4割程度ある。

運航委託契約では「必ず取引を失うのでできない」が前回調査14.0%から8.0%へと大きく減少し、「堂々と相談や申告ができる」は前回調査15.5%から34.0%へと大きく増加した。

公正な取引環境づくりに有効な施策を聞いたところ「契約・約款の解説書作成と説明」が36%と最も多く、「定期的な調査による実態把握」が34%、「下請法等の説明会」が26%の順で多かった。

内航海運市場の改善に有効な方策では「契約ルールの明確化・徹底」が43%で最も多く、「グループ化などオーナーの組織体制づくり」、「多重構造の是正」の順だった。

海事局では、前回の調査と比べ、下請法などの認識の普及や内航海運市場が回復したことにより取引実態についても改善が見られたが、下請法や独占禁止法の特殊指定の違反となる恐れがある問題も見受けられたとしている。

《レスポンス編集部》

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