期待膨らむもサプライズなし?
2013年度の自動車関連税制見直しでのサプライズはなさそうだ。自動車業界が廃止を要望していた自動車取得税と自動車重量税の車体2税は13年度はそのままに、取得税のみ将来の廃止が盛り込まれる見通しとなった。当面、新車需要を税制面から新たに支援する材料はなく、13年(暦年)の国内市場は再び500万台を割り込むのが必至となってきた。
「13年度の税制改正大綱に、何らかの廃止や軽減措置が盛り込まれるのではないか」。税制をめぐっては年明け早々、自動車業界団体幹部からこうした期待の声も聞かれた。安倍晋三新政権の発足とともに、超円高の是正とそれに伴う株価の回復が進むなか、新政権の輸出産業に対する大胆な政策展開への期待も膨らんだ。
茂木敏充経済産業相は、自動車工業団体の新年賀詞交換会で自動車産業を日本経済の「4番バッター」ともち上げ「自動車の復活なくして、日本経済の再生はない」とあいさつした。
現行のエコカー減税で頑張るしか…
その経済再生には「ロケットスタート」で取り組むとも強調するものだから、業界関係者が車体2税の扱いへの期待を高めたのも無理はない。
もっとも、師走の政権交代で予算編成・税制改正作業は越年し、車体2税の扱いに結論を出すのは工数的に困難との慎重な見方も業界内にはあった。案の定というか、そうした展開になった。今年の国内新車マーケットへの新たな支援策はなく、12年度から3年の計画で実施されているエコカー減税(車体2税を減免)が主体となる。
12年4~11月に販売された新車での実績によると軽自動車と登録車(中大型トラックなどを除く)で減・免税の対象は72%となっており、4台にほぼ3台の割合で何らかの軽減措置を受けている。また、ハイブリッド車(HV)や電気自動車、クリーンディーゼル車、さらに燃費性能が極めて高いガソリン車など免税となったクルマは32%と、ほぼ3台に1台を占める。
13年もHVと軽の優位が続く
新たな税制の支援がない13年は、昨年の市場回復に貢献したエコカー補助金による効果分が抜け落ちるだけでなく、東日本大震災の影響で昨年に顕在化した繰り延べ需要もほとんどなくなる。
12年の国内新車市場は537万台(前年比27.5%増)と、08年から4年ぶりに500万台を突破したが、今年は再び割り込むだろう。自動車メーカーの国内担当役員さんらの見解も参考にしながら個人的には、良くて12年を1割程度割り込む水準(=483万台)と、見ている。
そのなかで、車体2税が免税となる大半のHVや一部の軽自動車、さらにマツダの商品投入を機に見直しされているディーゼル車が12年に続いて売れ筋となっていく。税制が動かないと軽の優位性は保たれるので、今年も軽の占有率は拡大するだろう。