カンボジア、中国からの軍事援助が拡大

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カンボジア王国軍兵士
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1月24日、中国人民解放軍の戚建国(Qi Jianguo)副総参謀長がカンボジアのコンポンスプー州にある中国出資の軍事研究所の開所式に参列し、今後中国からカンボジアへの軍事援助を増加すると発表した。

式の前日の23日には戚副総参謀長とカンボジアのティア・バン国防相が会談を行い、中国からカンボジアへの軍事援助について、追加援助の提供が取り決められていた。会談で話し合われた内容の詳細は不明であるが、バン国防省は中国から多くの軍事装備と訓練の援助を受ける事が決定した事を発表し、「この度の中国からの追加支援を受ける事で、カンボジア王立軍の国防力は大いに向上するだろう」と延べた。

24日のコンポンスプー州プノンスロッチ地区の新しい軍事研究所は、2002年に中国の資金援助で設立されたトロック・タセイ将校学校に、付随する形で建設されたものである。式典の挨拶の中で戚副総参謀長は「我が国がカンボジア王国の発展に資することができ、大変光栄である」と自賛した。

さらに式典の中でバン国防相は、中国から軍事ヘリコプター「直-9」を12機購入する方針を発表、今後人道任務などに従事させる予定だと述べた。また式典にはフン・セン首相も参列し、中国での訓練を終えた王国軍歩兵部隊に対し祝辞を述べた。

近年の中国人民解放軍からカンボジア王国軍への援助の拡大について、オーストラリアのニューサウスウェールズ大学政治学名誉教授のカーライル・セイヤー氏は以下のように述べている。「今回の研究所は中国と東南アジア間の防衛協力に向けた足がかりの一つだと考えられる。中国は既に東南アジア諸国に数か所、このような軍養成機関を設けていて、当地域の動きを非常に注意深く伺っている。これは米国が東南アジアで行っている管理システムの模倣だと考えられる」

「米国は伝統的にカンボジアに対し軍事援助を行ってきているが、中国はここ数年間で、王立軍の保有機材改善や、巨額融資の提供、建設、エネルギー、輸送、農業の各分野でも大規模な投資を行っており、カンボジアの関心は中国に傾いている。今やカンボジアは米中間の争奪戦に飲み込まれている」

米中の争奪戦の中、一部のカンボジア人は危機を感じ取っている。プノンペンに住む大手印刷会社の社員は「カンボジアはいつの時代も大国によって翻弄されている。現行政府は全ての援助に飛びつき、全ての援助国に媚びへつらっている。このままでは将来的にカンボジアは再び損な役回りを演じる事になるだろう。今年の7月に総選挙が行われるが、政権交代は難しいだろう」と危機感をあらわにした。

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