【シトロエン DS4 試乗】滑らかな変速で気持ち良く加速が伸びる快適な走り…松下宏

試乗記 輸入車
シトロエン DS4
シトロエン DS4 全 9 枚 拡大写真

シトロエン『DS4』はデビューした当初はスポーツシックが6速MT車だけ、シックが6速EGS車だけの設定で、通常のAT車の設定がなかった。そのDS4に6速AT車が追加された。

そもそもヨーロッパではMT車が中心に売れるため、全体にAT車比率が低いが、中でもプジョー・シトロエングループはAT車への対応が遅れ気味なのが実情だ。

DS4に対しても4速ATならすぐにでも対応できたようだが、改良が重ねられて熟成の進んだ4速ATとはいえ、今どき4速ではさすがに厳しいということで、2ペダル車はEGSだけが設定されていた。

EGSはセミATで変速時にトルク抜けの症状が出るため、日本のAT車ユーザーには必ずしも満足できるものとはいえないのが実情だ。

そんな状況に対応し、やっとというか、ついにというか、DS4にも6速ATが追加されることになった。

これまでのシックには115kW仕様、スポーツシックには147kW仕様の直列4気筒1.6リットルの直噴ターボ仕様エンジンが搭載されていたが、6速AT車はシックのほうに設定された。ただし、エンジンは120kW仕様とされ、従来のシック用のエンジンに比べてパワーアップ(トルクは240Nmでこれまでと同じ)が図られている。

ただ、このパワーアップは運転していてそれを実感できるようなレベルではない。6000回転まで回したときに5kW(6ps)の違いだから、これを感じ取るのは難しい。むしろEGSからATに変わり、滑らかな変速で加速が伸びていくことに好印象を感じた。

パワフルなチューニングを施したスポーツシックの147kW仕様エンジンと違って、シック用のエンジンは低速域でのトルク感の良さを特徴とするものだった。それをスポイルすることなく、快適な変速フィールが得られるようになったのだから、走りは全体にとても良くなったといえる。

やや残念に感じられたのは6速EGS車にはあったパドルシフトが、6速AT車ではなくなったこと。パドルがなくてもレバーを操作すれば積極的に走りを楽しむこともできるが、パドルがあればハンドルから手を離すことなく、さらに容易にスポーティな走りが楽しめる。

トランスミッション以外の部分は基本的にこれまでのDS4と変わらない。高めのアイポイントを持つSUV感覚の外観デザインが、リヤドアのノブをCピラーの部分に隠して2ドアクーペに見えるような独特のデザイン処理がなされていることなど、DS4の特徴はそのままだ。

シトロエン独自の油圧サスではないものの、快適な乗り心地を持つ足回りなども正にDS4のものと言っていい。

価格は6速EGS車が309万円であるのに対して6速AT車は310万円。なぜわずか1万円の価格差が設けられたのか分からないが、これからは6速AT車を中心に売れていくのは間違いないだろう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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